これぞ「投球術」!高松西・雁木 航平が今大会完封第1号!

 ストレートは120キロ台。スライダーとチェンジアップが110キロ台。カーブ系が100キロ台。第2試合で完投した高松北・塹江 敦哉(3年)のような「快速球」はない。

 ただ、高松西の右サイドハンドエース・雁木 航平(3年・投手・右投右打・176センチ72キロ・高松市立紫雲中出身)と、雁木とバッテリーを組む多田 龍ノ介(3年・捕手・右投左打・174センチ74キロ・高松市立太田中出身)による「投球術」はそれらのハンデを補ってあまりあるものがあった。

 この試合で高松西が奪った27アウトのうち、三振3・犠打2を除く22個中、なんと19アウトは内野ゴロ(うち1つは併殺)。サイドハンドの長所である「ストライクコースからボールコースへわずかに外れる」コースに、高瀬打線は完全に翻弄された。

 試合後、三塁側ベンチには4番主将の船木 光善(3年・捕手・右投右打・172センチ66キロ・三豊市立和光中出身)をはじめ、敗戦の涙に暮れる3年生たちの姿が多数あったが、序盤の2失点含め「やりきれなかった感」が残る敗戦だったことも、その要素に含まれるだろう。

 ただ、これも野球の1つの形。93球4安打無四球で今大会完封第1号につなげたこの「投球術」を高松西が継続できれば、大会前は英明が「大本命」とされていたBゾーンは、一気に混沌としたものになってくるはずだ。

(文=寺下 友徳)