日大三島vs中京大中京 20年ぶりの東海大会で自信深める!

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20年ぶりの東海大会で自信深める! 

先制本塁打の中泉圭祐(日大三島)

 日大三島は173センチ84キロという、ややずんぐりした骨太タイプの小澤 拓馬君(3年)。中京大中京は2年生ながら173センチ73キロとバランスのとれた引き締まったタイプの上野 翔太郎君。試合は本格派右腕同士の投げ合いで始まった。

 小澤 拓馬君は140キロ近いストレートを投げ込む力投型で、力で押してくるタイプ。上野君は、力よりも球のキレで勝負するタイプだが、ともに持ち味を出しながら序盤を終えた。打順が一巡した4回に、日大三島は二死から、最も頼りになるという3番の中泉 圭祐君(3年)がカウント1ボール1ストライクから、レフトへソロ本塁打を叩きこんだ。マウンドの上野君としては、空振りを取りに行ったチェンジアップだったのだが、それを上手に拾って、鋭いスイングでジャストミートして運んだものだった。「あの高さでは、失投と言われても仕方がない」と、試合後にこの一球を悔やんだ中京大中京の高橋源一郎監督。

 これで試合が動き出すのかと思ったが、そうでもなかった。そのまま膠着状態が続いていった。

 日大三島は5回の小林将也君(3年)、8回の小澤怜史君(2年)と、いずれも先頭打者が二塁打で出たが、その後の中京大中京の堅守に阻まれ、走者を進めることができなかった。しかし、中京大中京も小澤 拓馬君の重そうな球を打ちきれず、6、7、8回は三人ずつで終わるなど8回までわずかに2安打。試合時間もここまででわずかに1時間20分という短さだった。

 

1失点完投の小澤拓馬(日大三島)

 結局、もう一つ山場がないまま、お互いに1番からという打順で9回を迎えることになった。

 日大三島は望月天馬君(3年)がセンター前ヒットで出ると、バントで二塁に進み、3番中泉君がレフト前へはじき返してこの日2打点目となる貴重なタイムリーを放った。さらに四球などで二死一、二塁となり、6番小澤怜史君もセンター前に打ち返して、二塁走者を迎え入れてこの回2点目を挙げた。

 その裏、中京大中京も、山本 源(3年)君がレフト線へ二塁打を放つと、四球などで二死一、二塁となってから、5番中村健人君(2年)がライト前タイムリーを放って一矢を報いた。だが反撃もここまで。強力打線の破壊力が期待されていた中京大中京は、わずかに4安打で、ついぞ小澤 拓馬君を攻略しきれず、歯がゆい内容だった。

 試合後の高橋源一郎監督は、「反省することだらけです」と、地元開催の大会で初戦の完敗に厳しい表情だった。「打線はまったくダメでした。夏までには、もう一度作り直さないといけません。積極的に振りにいけてないし、ボールを見にいってしまっています。4番(伊藤 寛士=2年)が3三振では話になりません」。そして、「これから夏へ向けて、6月には強化合宿もやっていきますから、出直しです」と、夏を見据えてもう一度作り直していくことを改めて誓っていた。

 9回は少し追い上げられながらも、しっかりと逃げ切った日大三島。川口剛監督は、「すんなりとは勝たせてくれませんね」と言いつつも、「東海大会ということで、少し硬さもあったかも知れませんが、県大会から一つ上がったステージで、選手たちには初めての経験でしたが、夏へ向けては大きな自信になると思います」と、素直に勝利を喜んだ。

 投手に関しても、「(小澤)拓馬が、一人で投げてくれたことは大きかったですね」と、小澤 拓馬君の4安打1失点の完投を高く評価した。

 20年ぶりの春季東海大会出場となった日大三島だったが、県大会より一つ高いレベルの大会で、いい形で勝っていくことで、間違いなく自信にはなっていくことであろう。

(文=手束 仁  写真=松倉 雄太)