GitHubにおけるアップルの存在感はゼロに近い。それのどこが問題なのか?

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アップルのモバイル市場でのシェアは下降線をたどっている。オープンソースはそのソリューションを提供できるのだろうか。

ベンチャーキャピタルの著名人フレッド・ウィルソンは、アップルは10年以内にIT企業Top3の地位を失うだろうと考えている。原因としてそのハードに対する取り組みとクラウドでの弱さが挙げられているが、アップルの開発者とのコミュニケーションの弱さのほうがさらに大きな問題だという気がする。

何を言っているのかと思われるかもしれない。去年、iOSプラットフォームの開発者は600万人に達し、アップルは今日までに彼らに100億ドルもの支払いをした。アップルによるとこの金額は、「他のプラットフォームの合計額より3倍も多い」のだという。これは衝撃的な数字だ。

しかしながら別の観点もある。アップルは、幅広い開発者たちが愛してやまないコードレポジトリであるGitHubにおける存在感がほぼ無いのだ。GitHubにますます多くの開発者が移行する中、アップルは独自路線を続けることができるのだろうか。

GitHubのトレンド

以前のアップルであれば、その答えは明らかにYESだったろう。アップルは他者と仲良くやる必要など無かった。それがアップルのやり方だったのだ。Redmonkのアナリスト、ドニー・バークホルツは「マイクロソフトのC#とアップルのObjective-Cは、どちらもGitHubで見かけることはほぼ無い。どちらのプラットフォームもオープンソースを推奨しないか、むしろ積極的に邪魔しているからだ」という見方をしていたが、アップルの首脳陣はこれを気にも掛けなかった。

新規ユーザ、解決すべき問題、レポジトリ数

かつて、アップルの閉ざされた環境で働いている開発者達は、結構な高給をもらっていた。しかしアップルのプラットフォームに忠誠を誓う熱心なユーザがたくさんいた頃はともかく、最近は事情が変わってきたようだ。

バークホルツが指摘する通り、アップルのObjective-Cは孤立している。「そのシェアから言って、これまでGitHubで歴史的に重要だった言語は、Javascript、Ruby、Java、PHPとPythonの5つだという事の説得性は増している。他の言語は現在重要では無い」という。

iOSプラットフォームとその先

HackerNewsで募集されている職種を見てみると、iOSとAndroidは大体同じくらいだ。Indeed.comでも状況は同じようなものだ。

募集されている職種の割合

ところが、募集案件数の延びに着目すると、モバイル業界では明らかに変化が起きている。

募集案件数の延び

Evans Dataの調査で明らかにされたのは、アップルにもう過去のような覇権はないということだ。

  • Android開発者の41%が、アプリを一月かそれ以下で仕上げるという。同じくらいの時間で仕上げられるのは、iOS開発者だと36%、Windows Phoneの開発者では34%だそうだ。
  • 84%のタブレット用アプリの開発者がAndroidをプラットフォームとして選択するという。iOSを選ぶのは62%ということだ。

以下の図は、それぞれのプラットフォームにおける開発者の動向を示すDistimoのデータだ。この図の示唆するところは、Google PlayがApp Storeの牙城を切り崩すことが現実味を帯びてきたという点だ。

アップルは焦るべきか?

この指摘はアップルをパニックに陥れるのが目的なわけではない。ただ、更に幅広いオープンソースの開発者を、アップルの現開発コミュニティのやり方に無理矢理はめ込むこと無く、抱え込む道を模索する必要があると言いたいのだ。でなければ、既に起こっているように、多くの開発者がAndroidやHTML5に流出することだろう。

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そういった中で、GitHubの集人力が重要な鍵となる。GitHubで行われているニッチな開発の話をしているわけではない。バークホルツの同僚であるジェームス・ガバナーは、「GitHubはもはやただのWeb開発のためのプラットフォームというわけではない。むしろあらゆるメジャーなプロジェクトの開発を行う為のものだ」と述べている。

むこう10年のモバイル開発を活発なものにするために、アップルはオープンソースの開発者たちを受け入れる事を考えなければいけないかもしれない。GitHubはそれを行うにふさわしい場所だ。

Matt Asay
[原文]