グーグルの公式カメラアプリ「Google Camera」で、iPhone 5S や本物のカメラと「ぼかし効果」対決
グーグルの新しい公式カメラ・アプリは、モバイル写真を新たな高みに引き上げてくれる。その実力を iPhone 5S や本物のカメラと比べてみよう。
被写体のみにフォーカスを当て、周囲の背景をぼかして撮影した写真をご覧になったことがあるだろう。このテクニックは友達を感心させる写真を簡単に撮れるようになる近道の1つで、カメラの絞りを開放(F値を小さくするほど絞りが開く)することで実現できる。
最近グーグルは、そんな伝統的なテクニックがなくてもこれに非常に近い効果を実現してくれる Android 用のカメラアプリをリリースした。写真を撮った後に、フォーカスやぼかし効果を調整することが可能というのだから驚きである。
フリー・ソフトは高価なハードウェアを模倣できるか
この機能は「Lens Blur」と呼ばれ、Android 用の Google Play ストアで入手可能となった新しい「Google Camera」アプリに組み込まれている。グーグル自社開発によるこの素晴らしい Android 用カメラ・ソフトウェアは、iOS 標準のカメラ・アプリよりもしっかり作られていて(必ずしも光学的に優れているとは限らないが)、これは恐らくグーグルが 2012 年に買収した優秀な写真アプリ、「napseed」の影響が大きいと思われる。
Lens Blur は、デビュー当時に非常に話題となったライトフィールドカメラ「Lytro」と同様のトリックを、それに近いクオリティーで再現している(Lytro は最近、さらにクレイジーなライトフィールドカメラ「Lytro Illum」を1599ドルで発表しており、現在予約が可能だ)。Lytro は、カメラからより多くのデータを収集することで、焦点や被写界深度を撮影後に調整することが可能な専用のハードウェアを構築している(この「ライトフィールド」のアイデアの詳細は、ネットで公開されている論文上で見ることができる)。
Lytro の専用ハードウェアとは異なり、Android 用の新しいカメラ・アプリの Lens Blur 機能はデプス・マッピング(奥行き情報のデータ)から必要な情報をすべて抽出する。従ってユーザが普通の2次元の Instagram 写真と同じ感覚で扱った場合は最適な結果を得ることができない。グーグルの研究ブログには、この Lens Blur 機能の仕組みに関するより詳しい説明が載せられている。
Lens Blurは、ソフトウェアのアルゴリズムによって大口径レンズをシミュレートすることができるため、特別な光学系の部品を必要としない。1枚の写真を撮影する代わりに、カメラを上向きにスイープさせて複数枚の撮影を行う。Lens Blur はコンピューター・ビジョン・アルゴリズムを使用して、撮影したシーン内の全てのポイントの深さ(距離)を推量し、対象となる空間の3Dモデルを作成する。
以下に例がある。左が生の入力写真、真ん中が「デプス・マップ(奥行きデータ。暗い箇所は近く、明るい箇所は遠い)」。右が距離に応じてぼかしを入れた結果だ。
Lens Blurで遊んでみる
機能を比べてみるため、我々は Google Camera アプリ、iPhone 5S、ソニーの RX100 II を使用して、いくつかの比較ショットを撮影してみた。写真毎に撮影者が異なるため、写真のクオリティーは気にしないで頂きたい。
実験の趣旨は、タイプの全く異なる3つのデバイスで、夢のように繊細な被写界深度の効果(「ぼけ味」とも言われる)がどんな風に実現されるかという点に着目したものだ。写真家なら誰でも知っていることだが、この効果はデバイスやレンズの種類、その組み合わせによって結果が異なり、均一に生成し得るものではない。
以下のショットは、どちらも Lens Blur を使ってNexus 4で撮影された。被写体が「1つの前景オブジェクトと遠くの背景」という単純な構図ではないため、奥行きの計算が難しい箇所によっては物体が少しあいまいになっている点に注目しよう。
Lens Blur対他のカメラ
iPhone 5S の f/2.2 レンズでは、ぼかしに関して大きな効果は期待できないが、ソニー RX100 II は絞り優先モードの f/1.8 でなかなかいい結果が出ている。グーグルの Lens Blur は、背景をぼかすという点では十分にいい効果を出せている。しかし、斜めに置かれた小さなジャガーの人形の奥行きはうまく計算できなかったようだ。
ぼかし効果が出やすいスーパー近接ショットなのだが、iPhone 5Sではやはりこの効果は見られなかった。一方、ここでも Lens Blur はかなりいい効果を出せている。
Lens Blur は、この小さなボウルの凹面の深さが苦手だったようだ。デプス・マップの計算が複雑にならない構図のほうが、ぼかし効果は明らかに成功しやすくなる。
全体を通して、グーグルの新しいカメラ・アプリはかなりクールだ。その手軽さから Instagram ユーザに乱用されているフォーカス機能(チルトシフト)と比べても、細かい部分で強化されているといえるだろう。あらゆるケースの撮影で常に成功するとは限らないが、うまくいけばとても素敵な効果を得ることができそうだと思うが、いかがだろうか?
画像提供
トップ画像:Cee Webster
サンプル画像:Taylor Hatmaker for ReadWrite
Taylor Hatmaker
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