マイクロソフトのデータ文化はビッグデータの普及に役立つか
マイクロソフトは難解なテクノロジーを簡単に使えるようにしてきた長い歴史を持つ。ビッグデータにおいても同じ事が起こるだろうか?
私がマイクロソフトを宣伝するような真似をしても、誰も非難したりはしないだろう。私はLinuxで育ち、長年のマイクロソフトの反オープンソース運動(幸いにも後に鳴りを潜めたが)には嫌悪感を抱いていた。しかし10年以上マイクロソフトに対して怒りを覚えていたのと同時に、同社の高度な技術を平均的なユーザにも使えるようにする能力については深く感心している。
そういうわけで、マイクロソフトがビッグデータの領域に乗り出してきた事を心強く思う。「大企業が自前のデータのハンドリングについて何の対策も持っていない」という調査結果があるなか、マイクロソフトがこれまでそうしてきたように、エンド・トゥ・エンドの使いやすいソリューションを提供し、多くの人びとがビッグデータをハンドルできるようになるという可能性はとても大きい。
レドモンド(マイクロソフトの本社がある都市)でのデータ文化の成熟
マイクロソフトはデータについて長年関わってきた。オフィスワーカーがデータを管理するためのExcel、データベース管理者用のSQL Server、消費者向けサービスのBingやHotmailや、言うまでもなくHortonworksのHadoopに関する事業などが挙げられる。これらを踏まえ、マイクロソフトのCEO サティア・ナデラは自社のビッグデータの取り扱い能力についてこう述べる。
「データを環境知能への『燃料』に替えるのは大きな挑戦だ。コンテキストを理解し、その意味を洗い出し、情報と雑音を切り分ける技術が必要となってくる。そのような環境知能を実現するための包括的なプラットフォームの構築は社を上げての取り組みであり、我々は引き受けるに足りえる存在だ。」
もちろん、現時点でのマイクロソフトのプランはあくまでビジョンでしかなく、これが現実のものになるには非常に時間が掛かる。OracleがFusionを最初に提唱した時のことを覚えているだろうか? 最終的にモノが上がってきた時はどうだっただろう? まだ待っている人はいるだろうか?
ガートナーの調査結果が提示するように、ビッグデータにまつわる尽きない問題があるなか、マイクロソフトのビジョンは評価できる。
マイクロソフトはこの分野で既存のベンダやオープンソース・プロジェクトよりうまくやることはできるだろうか? できるだろう…..おそらくは。
「使いやすさ」のDNA
マイクロソフトが管理者や開発者に対してやってきた事を考えてみよう。マイクロソフトはネットワークやサーバの管理を、UNIXの専門知識が無くても用意に行える素晴らしいツールを提供してきた。開発の面でもそうだ。提供されているツールを使うことで、並の開発者は優れた、そして優れた開発者は最高のパフォーマンスを発揮できる。
平社員でもビッグデータを扱えるようにできる者がいるとすれば、それはマイクロソフト以外にないだろう。
そしてそれは、マイクロソフトがやりたいことでもある。マイクロソフトの副社長 クエンティン・クラークは言う。「マイクロソフトの狙いは、3つの要素を組み合わせてビッグデータを万人に扱えるものにすることだ。その要素とは、誰でも使える堅牢なツール、あらゆるデータへの用意なアクセス方法、包括的なプラットフォームの提供だ」。ナデラは加えて、かつては科学者だけが享受できたデータの恩恵を一般の人にももたらし、自然言語処理、ビジネス解析、可視化機能を、普段使い慣れたOfficeの様なアプリケーションにもたらす事ができるようになればと述べている。
今週の前半、ナデラはビッグデータについての今後のプランについて更に詳しい話をした。
彼によるとそのアイデアとは、一方にExcel、もう一方にSQL ServerやHadoopを位置づけるアーキテクチャのアプローチだという。それほど具体的な事は決まっていないが、ビッグデータが将来、博士号取得者を連れてこなければならないようなものではなく、普通の人でも利用できるものにするという事を目指したものだ。
フロントエンドのデータアナリストから、バックエンドのインフラにいたるまで、マイクロソフトはビッグデータについての全体的なビジョンをもっている様に思える。マイクロソフトがこれまで複雑な技術を一般的な管理者、開発者、ユーザが使えるようにしてきた歴史を見れば、これは有望に思える。
本当に期待してよいだろうか? 結果がどうなるかはもちろん分からないが、これまでの事を振り返れば、マイクロソフトは「実現できる」と思えるに足る、正しい企業DNAを持っているといえるだろう。
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Matt Asay
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