なぜ Facebook はあなたの居場所を友達に教えたがるのか
友達に自分の時間を邪魔されたいときは、自分でちゃんとそう言うのに。
Facebook は、ユーザーにもっと多くの情報をシェアしてもらおうとしている。今回は、あなたの位置情報を友人たちに常時公開させるつもりのようだ。
この「Nearby Friends」と呼ばれるオプション機能は、自分の近くにいる人々を見つけるためのものだ。特定の人に自分の位置を知らせないようにするなどの設定を行うこともできる。Nearby Friends は友人が近くにいる場合ユーザーに通知を行い、ユーザーは彼らに一定の時間、自分の正確な位置情報をシェアすることができる。上手に使えば、友人たちと実際に会う機会を増やせるだろう。
「Highlight」のようなタイプの位置情報系ソーシャルアプリが成功したということは、ほとんどの人々は、友人に対して明確に自分の位置を知らせたい場合を除いて、自分の居場所を人に知らせないでおきたいと思っているのだ。路上で偶然誰かに出くわすことと、「偶然を装った接触」を期待してあなたの位置情報をオンラインで追跡している誰かに会うことは、全然同じではない。
節度を知らないウザい友人
Facebookは、まるであなたの週末の予定をしつこく聞いてくる横柄な知り合いのように、ユーザーの居場所を何度も聞き出そうとしてきた。毎回鼻であしらわれているというのに、全くこたえていないようだ。
2011年に Facebook は、「Facebook Places」という「Foursquare」のようなチェックイン機能をモバイルアプリに搭載した。ほとんどのユーザーはその機能を無視し、最終的に Facebook もその機能を終了させて、代わりに写真や投稿に位置情報が含まれるようにした。
その一年後、同社はまたもや似たような機能を企てた。今度は全くの他人も含め、誰もがユーザーの位置情報を見られるようにしようというのだ。大勢の人々からプライバシーの問題が提起されると Facebook はすぐにこの機能を引込め、「Find Friends Nearby」は短命に終わった。
そして Facebook は今、さらなる挑戦を試みている。今回は、この機能が強制ではなくオプションであり、ユーザーが位置情報を公開したい相手だけに見せられるのだということを速やかに指摘している。
しかし、それでも疑問は残る。私たちは本当に、Facebook でつながっている友人たちに自分の居場所を常に知られたいと思っているだろうか?
自分の正確な位置を友達に共有するようなサービスは既にいくらでもあるし、そうしたアプリではもっとプライベートな設定を行うことも可能だ。例えば「WhatsApp」や「GroupMe」、「Path」のようなアプリでは、自分の位置を地図上に公開し、それを閉鎖的な小さいグループ内のみでシェアすることができる。また「Foursquare」のチェックインは Twitter と Facebook の両方に公開することが可能だし、あるいはサービス内で作成した友人グループのみにシェアすることもできる。
こうしたサービスを利用すれば、ユーザーは自分の位置情報を、どんな人達にいつ知らせるかという明確な目的をもって積極的に発信することが可能だ。しかし Facebook の新しい機能では、ユーザーは位置情報をただ受動的に、誰がいつ見つけるかも分からないままに垂れ流すしかない。
私たちの Facebook アカウントは、もはや友達のために存在しているとは言えない。平均的なユーザーには338人の「友達」がいるが、その友達のほとんどはスーパーで偶然会ったりしたくないような相手なのだ。自分の場所を共有してもよい相手だけを登録した特定のリストを作ることはできるようだが、そこに登録するような相手はあなたが普段から一緒に過ごしたいと思っている人達であり、既に他のアプリで連絡を取り合ったり、あるいは実際に会ったりしていることだろう。
バッテリーにも優しくない
ユーザーに嫌がられそうな点がもう一つある。
このあたらしい機能を使うには、Facebook アプリで位置情報サービスをオンにする必要があるのだ。おそらくバッテリーを大量に消費することになるだろう。アップルストア Genius Bar の元従業員は、iPhone のバッテリーを節約する最善の方法として、Facebook の位置情報サービスをオフにすることを推奨している。
Facebook がユーザーの位置情報を取得するのと引き換えに、ユーザーにどんなメリットをもたらしてくれるのか(広告主にもたらされるメリットは明白だが)が明らかにならない限り、ユーザーにはこの取引に応じる理由はない。
Facebook には、ユーザーに彼らの位置情報を、ユーザーに対しても有益な方法で共有させるためのもっと良い方法がある。Facebook Messenger を改良するのだ。現在のシステムは非常に荒削りで、位置を共有するために矢印をクリックしなければならない。しかも他のユーザーに自分が今いる都市を知らせることしかできず、友達と合流したりするのには使えない。自分が今いるビルやオフィス、会場などの正確な位置情報を、特定のグループだけに公開できるようになれば、Facebook Messenger は他のメッセージング・アプリに十分対抗できるようになるだろう。ユーザーも、誰にいつ位置情報を公開するかを完全にコントロールできるようになる。
Facebook がこれをやらない理由はおそらく、同社の位置情報取得の技術がまだ未完成で、時間がかかる上に内容も正確ではないからだろう。Facebook が最近190億ドルで買収した WhatsApp は、Facebook や Instagram(Facebook が所有する写真共有サービス) ではなく Foursquare のデータベースを利用している。Facebook のデータベースに切り替えるテストを行っているが、結果はお粗末なものだ。
近くの友達を通知するようなサービスなどを展開して、それがうまくいくことを期待している場合ではない。Facebook は自社の位置情報取得技術の問題を解決し、ユーザーが望むような形で彼らの居場所をシェアさせるべきなのだ。そうすべきなのは明白だと思うのだが、世界最大のソーシャルネットワークにとっても解決の糸口を探すのはきっと困難なのだろう。
画像提供:Facebook
Selena Larson
[原文]