誰でもコードを学べる:ケース・スタディ

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次世代のプログラマーの肖像

これまで過ごしてきた19年の人生の中で、ティワン・ウェイドは「ノー」という言葉に耳を傾ける態度を学んだことは一度もなかった。コンピューター・サイエンスの知識が皆無だったにもかかわらず、大学1年生の年に初めての iPhone アプリを作ることができたのはそのためだ。

ウェイドの根気強さは「Shortly」というアプリの形で報われた。Shortly は iPhone 用の簡単な気象アプリで、「今日は短パンでも大丈夫かな?」というような、簡単なイエス・ノー形式の質問に答えるアルゴリズムを使っている。

「自信よりも反逆心の方が強かった」とウェイドは言っている。「自分を助けてくれるのは自分しかいないことに気が付いたんだ。だから、もし自分のプロジェクトを前に進められると信じていなければ、これは実現できなかった」。

ジョージワシントン大学でビジネスと経済を専攻していたウェイドは、ルームメイトとの会話の中から気象アプリの着想を得た。これまでにアプリを作った経験はなかったので、人々に尊敬されているコンピューターサイエンスの教授達にアドバイスを求めることにした。

「有名大学の100人以上の教授にメールを書いて、助言を求めた」とウェイドは言う。「教授たちは僕に助言をくれる時間を取れないようだった。また、あまりにも無謀だと思われたこともあった」。

それほど多くの教師たちが手助けしたがらなかった理由についてどう考えているか聞くと、ウェイドは「教師たちは、僕が人生の近道をしようとしていると感じたのだ。中には、すぐにアプリを作り始めるのではなくて、まずはコンピューター・プログラミングを専攻するべきだと勧める人もいた」と答えた。

最終的に、ウェイドは偶然 Coding Together に巡り合った。スタンフォード大学が Apple Store を通じて無償提供しているプログラミング入門コースだ。このコースには、一学生とっては十分な教材が含まれており、ウェイドは一日でそれを攻略した。3日後には、彼は自分のアプリを作り始めるのに十分な C++ のコードの書き方を理解していた。

しかし、困難はまだ終わりではなかった。Apple Store は Shortly を3回も却下したのだ。ウェイドのオリジナル・デザインが「審美的によろしくない」という理由によるものだった。しかしウェイドは却下されてもあきらめず、それどころか Apple Store の代表に電話をして、自分のアプリが認可に必要なことはすべて行っていると請け合った。

今、Shortly は 40 か国 1000 都市で、3000 回以上ダウンロードされている。不具合がない訳ではないが、アプリをレビューしたユーザーの関心は主に機能の拡充に向けられている。私はそのアプリを自分でもダウンロードしてみたが、実に生き生きとした、初々しいアプリ開発への挑戦だと思った。しかし、成熟にはまだまだ時間がかかりそうである。

ウェイド自身もこの問題に気が付いており、現在彼は大学の春休みを利用して Shortly 2.0 に取り組んでいる。彼はいかにもビジネス専攻の学生らしく、99 セントのアプリで稼いだお金をアプリ開発に再投資することを計画しているようだ。

「(Shortlyは)僕と一緒に確実に成長しているんだ。Shortly を作ったのは 18 歳のときだったけど、今は少し大人になったから、もっと大学生向きのものにしたい」と彼は言っている。

アリアナ・ハフィントンからの招待を受けて、ウェイドは今、ハフィントンポストに自分の「負け犬時代」と開発中の Shortly に関するブログを書いている。

ウェイドは起業を目指す世代の一人であり、コードを学ぶのは避けて通れないことだと認識している。彼は自分のストーリーが、「ノー」という否定の海の真ん中で身動きできなくなっている他の誰かが自分の「スーパーパワー」に気付くきっかけになることを願っている。

「このストーリーは僕自身にとっても意味があると思っている。僕の途方もない夢を象徴しているからだ。子供は皆、自己実現したいと望んでいるものなんだ」と、ウェイドは言っていた。

Lauren Orsini

Lauren Orsini
[原文]