オンライン・ストレージの Box が IPO 申請

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Box の IPO 申請書類には「デベロッパー」という単語が 50 回も登場している。

Box が SEC に申請書類を提出し、公式に株式公開の準備を進めている。オンライン・ストレージとコラボレーション・ツールを提供する同社は、精力的なマーケティングと販促活動に牽引され、ここ数年間で飛躍的な成長を遂げた。

Box のビジネスモデルはどうやら持久力に欠けるようだ。最新の会計年度では 1 億 2400 万ドルの収入に対し、支出が 1 億 5880 万ドルとなっている。支出の 1 割を占めるのは販売手数料である。Box の販促活動には同社の経費と人員の大部分が使われており、その運用によって毎年損失を計上している。

こうした戦略によって Box の売上は急上昇し、同社の販売力を確実なものとした。だが収益と支出のギャップを埋めるためには、Box はもっと費用のかからない販売方法を見つける必要があるだろう。

デベロッパー、デベロッパー、デベロッパー(以降、繰り返し)

幸いなことに、Box が提出した IPO の申請書類にその答えが書かれていた。

Box の S-1 書類には、「デベロッパー」という単語が 50 回、そして「プラットフォーム」という単語が 120 回登場している。同社の販促頼みの現状を打破する希望はこうした単語の間に隠されていそうだ。

Box は既に NetSuite や Salesforce などの企業と提携し、ファイルやドキュメント用の基盤クラウド・ストレージ・サービスを提供している。例えば Box と Salesforce の共通ユーザーは、 Salesforce の顧客レコードに契約書やプレゼンテーション資料を埋め込むのに Box を使うことになる。

Box が収支の悪循環を断ち切る方法の一つは、NetSuite や Salesforce のような企業とのパートナーシップをもっと緊密にすることだろう。Box を他のビジネスの「プラットーフォーム」にすることは、同社の S-1 書類に記載された成長戦略の一部である。例えば NetSuite  の会計サービスの場合、Box は送り状の格納場所となる。

サンフランシスコにおける業界の垣根を越えた展開

現時点で、Box は約 20 の企業と提携している。デベロッパー・エコシステムは順調に育っているが、Box にとっては間違いなくこれからが勝負となる。今月初めに開催された SXSW インタラクティブ・カンファレンスにおいて、Box の CEO アーロン・レビは同社の野望について語った。サードパーティーのデベロッパーの力を借りて Box に特化したアプリを開発し、ヘルスケアやホスピタリティなどの他業種にも参入するつもりのようだ。

ここでロールモデルとなるのはマイクロソフトだ。マイクロソフトも大きな販売力を持っていたが、同社の努力は Windows や Office 、Exchange に関連した開発を行う膨大なデベロッパーによってさらに拡大された。デベロッパーが開発したサービスやアプリはほとんどが他のビジネスアプリとの相互運用を要求するものであったため、マイクロソフトのコア・プロダクトを販売しやすくなったのである。

Box の具体的な取り組みは、26日にサンフランシスコで開催される Box デベロッパー・カンファレンスで明らかにされるだろう。おそらくレビは壇上で「デベロッパー」という単語を 50 回は繰り返すはずだ。

画像提供:E2 Conference

Anthony Myers
[原文]