気になる Android スマートウォッチの UI とその使い方
スマートウォッチ上で Android アプリと Google Now が合体した様子を想像してみてほしい。
グーグルは以前からウェアラブル・コンピューター用のソフトウェアを提供すると言っていたが、その約束を守ってくれた。
グーグルは先日、スマートウォッチ用のプラットフォームとウェラブル技術の開発環境「Android Wear」を発表した。グーグルはまだ完全な Android ウェアラブル用のソフトウェア開発キット(SDK)をリリースしていない。しかし公開された開発者向けプレビューにある設計原理を詳しく確認することで、我々は Android のスマートウォッチの実用的な動作と仕組みを理解することが可能だ。
関連記事: グーグルのウェアラブル戦略における 5 つのキーポイント
カード型インターフェースの採用
Android Wear のユーザー・インターフェースはカード・ベースとなっている。カードとは、アプリに最も関連度の高い情報だけを表示するアプレット(スマートフォンやタブレット用のアプリの小型版)を指す。それぞれのカードは、Android Wear デバイス上で互いに積み重ねられて表示される。またユーザーは、スマートウォッチ上で上下にスワイプしてカードを切り替えることができる。
カード・アプリ内のアクション可能なアイテムを切り替えるには、水平にスワイプを行う。例えば、私がボストンからサンフランシスコへ向かうアメリカン航空のフライトを予約していて、私のフライトがチェックインできる状態に入ったと伝えるカードがポップアップしたとする。私はチェックインを行なうために、Android Wear デバイス上でそれを右にスワイプし、次にチェックインをタップする、といった具合だ。
それぞれのカードの背景には、どのアプレットのどのアクションが行われているかを区別するため、状況に応じたバックグラウンド画像が表示される。したがって、私のカードのうちの1つにミーティングに関する上司からのメッセージがあったとすると、そのカードの背景にはメッセージに関係した画像が表示される。カレンダーを下にスワイプすると、カードの背景にはそのスケジュールの時間に関連した画像が表示される。そのカレンダー内でさらに右にスワイプすれば、ミーティングの実際の内容を確認することができる。
コンテキストとオンデマンド
Android Wear デバイスは、ユーザーを取り巻く環境や状況を正確に把握した上で、アプリを通じて2つのタイプ、コンテキスト(文脈)型とオンデマンド型の通知を行うことが可能だ。グーグルはこれらを「サジェスト」カードと呼んでいる。
コンテキスト型のアプリは、ユーザの行動に基づいた情報を伝えるためにスマートフォンのセンサーや Android ウェアラブルのセンサーを使用する。これは Google Now(ユーザの行動パターンから、ユーザーが次に何をするか、または何を検索するかの推測を試みるグーグルのサービス)と完全に一致している。
例えば、今日私がミーティングに行くことになり、家を出る前にそのミーティング場所の住所を調べたとする。私の Android スマートフォンでは、私が住所を探索したことを既にグーグルが知っているため、Google Nowカードにはミーティング場所の方角やナビゲーションが表示される。
Android Wear におけるコンテキスト型の情報発信では、ユーザの位置や状態を読み取ることで、これらと同じタイプの多くの機能を実現できるだろう。また必ずしもバイブレーションを使う必要はなく、スマートウォッチ上に単に表示する形で情報を通知することも可能だ。情報は、いつもスマートウォッチ上で適切に表示される準備ができているのだ。
オンデマンド型のカードはコンテキスト型のカードとは対称的だ。これらのカードは同じくデバイス上に表示されるが、ユーザがデバイスでタッチしたり音声入力したりすることで呼び出される。それらは、電話をかける、テキスト・メッセージを送る、特定の指示を受け付ける、音楽を聞く、といった具体的なアクションを呼び出すために Android の「インテント:アプリケーション中の特定の機能を外部から呼び出すためのインターフェース」を含むだろう。これらのカードは、コンテキスト型のカードのように必ずしも周囲の情報の通知は行わず、ユーザが行う可能性のある特定のアクションの支援を目的としている。
通知とページ、アクション
Android Wear の手軽なところは、開発者が必ずしも完全に新しいアプリケーションを作成する必要がなく、多くは既存の Android の通知をウェアラブル・デバイス用の動作に設定し直すだけで済んでしまうところだ。Android Wear の通知は、Android の既存の通知システムがベースとなっており、スマートフォンとウェアラブルの間で共有が可能になるだろう。
対照的にサムスン(同社は新しい Gear スマートウォッチのオペレーティング・システムとして Tizen を採用することを決定した)は、開発者に対してはるかに複雑なタスクを提供している。Gear は別々に2つのアプリケーション(Android と Tizen)を作成し、その上でサムソン特有のプロトコルを通じて情報を相互に共有することを開発者に要求しているのだ。
Android Wear で開発者は、通知に対して追加的な機能を構築することができる。音声入力によって応答したり、ページを追加したりといった機能だ。例えばユーザーは、メッセージを受け取った後に「返信する」を選択して、その通知に対して特定のアクションをとることができる。
グーグルの設計原理は、ディフォルトとしてすべての通知を、一覧可能なシンプルな形で表示するように要求している。しかし、開発者とユーザにはその通知のメッセージを拡張するオプションが与えられている。電子メールは、Android Wear デバイス上でヘッドラインだけの状態でポップアップするかもしれない。しかし「メッセージを読む」と音声入力する、あるいはスクリーンをタップするといった操作で、その電子メールの表示を拡張することが可能だ。
積み重なって表示されるカード
スマートウォッチはその性質上、スペースが制限されている。しかしスマートフォンで普通に受け取ることができている通知は、すべてどこかに表示されることが望ましい。Android Wear では、それらは互いに積み重なって表示される。例えば、WhatsApp の中でいくつかの異なる会話に参加している場合、それらの通知カードはAndroid Wear では互いに積み重なって表示されるだろう。また、それらを削除したり返答したりするには、カードをスワイプすればよい。
ユーザーが電子メールでのやり取りを行っているとき、同じ電子メール・スレッドからの大量のメッセージは、毎回新しいカードが作成されるのではなく同じスタックに入る。
それぞれのアプリが個別のスタックを持っているため、ユーザは自分のスマートウォッチ上に次々と無秩序に現れるメッセージに圧倒される心配がない。どのアプレットから送られているかに関係なく次々と通知メッセージのカードが積み重なってしまうという問題は、Toq インターフェースの欠点の 1 となっている。
画像と動画提供:Google and Android Developer website
Dan Rowinski
[原文]