図1 「幸福度」は年収に比例する/図2 「将来への不安度」は低年収ほど高い

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お金があると幸せになりやすいのか? 年収300万円台〜1500万円以上の人まで貯蓄額、残業の多さ、出世欲から性生活の頻度まで、仕事と家庭のさまざまな面からアンケート調査した。

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調査概要/楽天リサーチの協力を得てインターネットを通じて個人年収300万円台、500万円台、800万円台、1000万円台、1500万円以上の各年収200人ずつ、計1000人より回答を得た。調査期間は2012年3月23〜25日。

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幸福度は年収と正比例する――。年収別にアンケートをとったところ、こんな調査結果が出た。100点満点で幸福度に点数をつけてもらったところ、年収300万円台の人が最低の62.8点と答えたのに対し、800万円台では71.8点、1500万円以上では最高の74.6点をつけている(図1)。逆に不安度は300万円台が67.7点と最も高く、800万円台が55.4点、1500万円以上が46.5点というように年収が増えるほど低くなる(図2)。

貯蓄額も個人差はあるが、ほぼ年収に比例している(図3)。

確かに年収や貯蓄が多ければ、さまざまな欲求を満たしやすくなる。逆に、スキルをあまり求められない単純労働に従事している低年収の人は、この先、生活が保てるかという不安にさいなまれがちだろう。

ただし私は、根源的な部分で「お金=幸福」という方程式が成り立つとは思っていない。人が本当の意味で幸福と感じるのは、周囲の人々から評価されたとき、つまり他者から「承認」されたときだ。その部分に大きく幸福は左右される。

実際、どんなときに幸福を感じるかという問いに対し、低年収の人は没頭しているとき、高年収の人は「仕事」に打ち込んでいるときに幸せを感じると答えている(図4)。

低年収の人は仕事で評価されにくいので(図5)、そこと関係のない「趣味」を評価されたいと感じ、高年収の人はお金で何でも買えるというより、「高い年収=仕事に対する承認」と受け止めるからと読み取れる。

さらに詳しい調査結果をもとに、「年収と幸せ」の相関関係についてさまざまな角度から分析していきたい。

■高年収層も「自分の時間は大事」

仕事に関する調査では、年収800万円台のサラリーマンの負荷の高さとそれに対する不満が目立った。

「残業、仕事の持ち帰りは多いか」(図6)という問いに対し「あてはまる」「ややあてはまる」という答えの合計が51%にも達した。この年収層は会社では中堅どころで部下がいる人も多いが、現場でも一番戦力として期待されているのではないか。

しかし働いた努力が「報われる」(図7)と考える人が9.5%と、最も少ないのも800万円台。努力に見合った承認が得られていないと考えており、年収1000万円の大台まであと一歩というところで届かない。そんな現状に疑問を感じながらも必死で働かざるをえない中堅サラリーマン像が浮かんでくる。

かつての日本と違い、会社に滅私奉公するだけでほかのことをまったく顧みない人には、社会や家族の承認もついてきにくい時代になっている。それを反映してか、「経営トップになりたいか」(図8)という問いに対し「なりたい」という答えが2割を超えたのは1500万円以上のみ。各年収とも7〜8割の人はそこまでの出世を望まない。

「仕事より『自分の時間』を大切にしたい」(図9)人は、どの年収でも半数を超える。低年収層が多く300万円台、500万円台ともにおよそ8割。一方、スキルアップのために勉強をしている(図10)人は1000万円未満では1割程度しか存在しない。高収入層以外は、長期的な目線で上を目指すことに希望を失っているのかもしれない。

(中央大学文学部教授 山田昌弘 構成=山本信幸)