『サンダーバード』を通じ、科学の進歩を実感する
……と思いきや、現代の技術も決して引けを取ってないらしい。それを証明するのは、日本科学未来館が9月23日まで開催している「サンダーバード博〜世紀の特撮が描くボクらの未来〜」。
『サンダーバード』で描かれていた夢の未来を通じ、日本が誇る先端科学技術への理解を深め、持続可能な未来の可能性を思い描く企画展だそうです。この催し、興味深いので私も遊びに行ってきました！
さて歩を進めると、特設ブースに行き着きます。眼前には町並みがそびえているが、そこから炎が立ち上る。世界制覇をたくらむフッドが国際救助隊をおびきだすため、私たちの街に火をつけたらしい！
手元にある消火ビームを手にし、我々が消火活動に臨まないと……。しかし、ままならない。……と、ここで国際救助隊が到着！ 全長約4メートルのサンダーバード2号（の模型）が姿を現すが、これが格好良くて勇ましくて。「助けに来てくれたんだ」と、我々をホッとさせてくれます。彼らと力を合わせ、燃え広がる火の海から街を救ってフッドを倒す。そんな疑似体験ブースでありました。
さぁ、ここからが本番。先端科学技術展示ブースに進みましょうか。同作にて夢の暮らしを支える未来のマシンや技術を取り上げ、現在の日本の先端科学技術やアイディアと比較しながら紹介していくコーナーのようです。
手始めに、「モビリティ（夢の乗り物・スーパーメカ）」ゾーンへ。ここで思い出されるは、先ほど登場した「サンダーバード2号」。しかし、あのマシンを今実現しようとしても、ちょっとまだ難しいみたい。でも、ガッカリしないでください。今開発中だったり実用化が始まっている素材や技術が普及すれば、スーパーメカの普及も実現につながるのです。
例を挙げると、“軽くて強い”という特長を持つ「炭素繊維」に注目。セーターや毛布と同じものが「炭素繊維」の原材料になっており、金属材料に代わる「軽量化材料」としてロケットや飛行機、クルマ等のボディを作る構造材料に使われているそうなんです。航空機「ボーイング787」は、炭素繊維複合材料を活用することで20％の燃費改善とCO2の削減を成し遂げているらしいですよ！
さて、続いては「海洋開発」ゾーンへ。そういえば『サンダーバード』第6話「原子炉の危機」にて、オーストラリア大陸に海水を真水にする「脱塩プラント」建設のくだりが描かれていました。まぁ劇中では、ご多分に漏れずフッドがちょっかいを出してくるのですが……。
そして実は今、海水から飲料水を作る技術開発がいいところまで行っているらしいのです。それは海水を蒸発させず、塩分のもととなる塩素イオンを取り除くことができる「逆浸透膜」のこと。世界中でこの技術は活用され、東日本大震災の被災地においても活躍したらしいですよ！
そして最も印象に残ったのは、「くらしとエネルギー」ゾーンでしょうか。テレビ電話や各救助メカ、コックピットまで歩かずに行ける移動装置など眩いほどの先端科学技術が活用されているのが、国際救助隊の秘密基地・トレーシーアイランド。そしてこのゾーンではトレーシーアイランドをベースにした「スマートアイランド」のジオラマを作成し、国際救助隊に先端科学技術を提案しています。
「スマートアイランド」にて活用されている「再生可能エネルギー」とは、まさに太陽光発電、風力発電、地熱発電のこと。低炭素社会の実現に貢献する「交通インフラ」は、鉄道システム、新交通システム、電気自動車システム、EV充電スタンド、運行管理・交通管制システムで形になっている。高品質な「ビル設備機器」は、電源設備、エレベーター、空調システム、LED照明、中央監視設備で、既に我々の身近にあります。
また『未来の「みる」と「きく」』ゾーンでは、「眼内レンズ」（メガネ補正が不必要のオートフォーカス付き）や、通訳機能やGPSとリンクして道案内や天気・災害情報をインフォメーションしてくれる補聴器の可能性についても言及してくれています。
では、最後に「サンダーバードギャラリー」ブースのご紹介を。『サンダーバード』の特撮セット、撮影シーンを再現した展示、小松崎茂画伯によるプラモデル箱絵の原画、当時製作されたマリオネット、などなど貴重なサンダーバードコレクションがディスプレイされています。
コアなファンは、このブースが一番楽しいかもな……。
それにしても、驚きでした。『サンダーバード』で見た風景が、実は遠い未来でないと知れたことが驚き。実は、子供より大人がはしゃいじゃいそうな企画展でしたよ！
（寺西ジャジューカ）
