家電量販店最大手のヤマダ電機(LABI、テックランドなど)が、瀋陽店1店だけを残して、中国から撤退した。2010年10月に瀋陽店、11年6月に天津店、12年3月に南京店と、次々と中国進出を行った。当初の計画では、13年までに合計5店を開業する予定であったのだが、その当初計画を撤回するだけでなく、開業した天津店、南京店と矢継ぎ早に閉店するという撤退戦略をとった。このヤマダ電機の撤退戦略から何を学ぶべきかを検討してみたい。

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日本経営管理教育協会が見る中国 第260回−宮本邦夫(日本経営管理教育協会会長)      家電量販店最大手のヤマダ電機(LABI、テックランドなど)が、瀋陽店1店だけを残して、中国から撤退した。2010年10月に瀋陽店、11年6月に天津店、12年3月に南京店と、次々と中国進出を行った。当初の計画では、13年までに合計5店を開業する予定であったのだが、その当初計画を撤回するだけでなく、開業した天津店、南京店と矢継ぎ早に閉店するという撤退戦略をとった。このヤマダ電機の撤退戦略から何を学ぶべきかを検討してみたい。

1.ヤマダ電機が指摘する撤退理由

 撤退するには、当然のことながら、それなりの理由がある。ヤマダ電機が記者会見で指摘した撤退の理由は、次の3点である。すなわち、(1)中国における家電市場が当初見込んだほど伸びなかったこと、(2)12年秋に発生した尖閣諸島問題に端を発した日本製品の不買運動、(3)中国製家電を現地で仕入れる仕組みをうまく築けなかったこと、の3項目である。この理由、根拠から、われわれは、次に挙げる事項を教訓として受け取るべきである。

2.進出先の市場調査の大切さ

 撤退理由の第1に挙げられている「中国における家電市場が当初見込んだほど伸びなかったこと」から、市場調査の大切さ、重要性があらためて感じさせられる。つまり、進出しようとしている市場について、現状、将来性などに関して細部にわたって分析し、その分析結果を総合的に判断して最終的な結論を出していくことがいかに大切であるかをよく理解し、市場調査に力を入れることである。

3.リスク・マネジメントの重要性

 撤退の第2の理由に挙げられているのは「12年秋に発生した尖閣諸島問題に端を発した日本製品の不買運動」である。日本製品の不買運動は、店の運営に当たっている経営者、管理者では対応できない難問であることは確かである。しかし、これは、リスク・マネジメントであり、経営管理の重要な一部であることを認識すべきである。したがって、進出に当たっては、カントリー・リスクを含めて、リスクの予防法・発生時対応を策定し、関係者に対する教育・訓練を行うことが肝要である。

4.現地の商慣行の理解

 撤退理由の第3に挙げられているのは「中国製家電を現地で仕入れる仕組みをうまく築けなかったこと」であるが、このことから、進出する国、現地の商慣行をよく知らなければならないということが痛感させられる。海外進出では、どうしても日本的な商慣行で取引をしがちで、失敗することが少なくない。やはり、商取引も「郷に入れば郷に従え」であり、現地の商慣行をよく研究し、それに従った商取引を目指すべきである。(執筆者:宮本邦夫・日本経営管理教育協会会長 編集担当:水野陽子)