2011年リリースのアルバム「レキツ」の9曲目、「狩りから稲作へ」。

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先日知人が、「縄文土器〜弥生土器〜♪」という謎過ぎるフレーズの歌を口ずさんでいた。思わず「その歌なに?」と二度見して聞いたところ、「狩りから稲作へ」というタイトルで、レキシというアーティストの曲とのことであった。

家に帰って調べてみると、このレキシなるアーティストの楽曲はすべて歴史、とくに日本史に関係するものであり、「妹子なぅ」や「万葉集」、「参勤交代」といったタイトルが目白押しで、強烈な存在感を放っている。

2007年にデビューしてから次第に人気を集め、今年には全国ツアー「レキシツアー〜今回は遺跡に行けるのですか?」を開催するまでになった。この「レキシ」の作曲や歌唱をつとめる池田貴史氏に、レキシの歴史観を聞いてみた。

まず、「歴史って何ですか?」と、漠然とした質問を池田氏に投げかけてみたところ、「歴史とは、想像することである」という、なんとも意味深な答えが返ってきた。そのココロはこんな感じだ。

「僕は最近、古墳にハマっているんですが、その古墳には誰がどのような形で、どのような物と埋葬されていたのか、というのを想像します。あるいは、この古墳づくりに関わった人々は、どんな想いでつくっていたのだろうか? といったことに想いを馳せます。歴史、というと、ナニナニ時代とか、何年にこんなことがあったなど、年単位の時間の流れを考えがちですが、それだけでなく、いにしえの人々の一分一秒、その瞬間を想像することが、僕にとっての歴史なんです」。

そんな古墳に対する想いを象徴してか、昨年12月に発売された3枚目のアルバム「レキミ」には「古墳へGO!」なる楽曲が入っている。池田氏の解説によると、「ほらキミのすぐそばに、きっと古墳はある。そんな想いをドライビングパーカッションとシーサイドサックスにNO.SE.TE。今日こそあたしを古墳に連れてって……」。うーん、深い。

そんな独自のセンスで歴史をエンジョイする池田氏だが、受験シーズン真っ只中の昨今、勉強に明け暮れすぎて歴史の勉強が苦手な学生も多いことだろう。悩める学生諸君に、歴史を好きになるアドバイスをお願いしたところ、こんな助言をいただいた。

「勉強と思わず、楽しむことが大事だと思います。歴史というのはつまり、人の心情が作り出すドラマ、ストーリーなんです。そう考えると歴史に入りやすいのではないでしょうか。無理矢理好きになろうとせず、気長に待っていれば、歴史の方から自ら歩み寄ってきてくれるかもしれないです」

「知れば知るほど、ふれあえばふれあうほど、歴史はそれに応えてくれ、また新たなロマンを生み出してもくれます」という池田氏の言葉からは、キャプテン翼にとってボールが友達であるかのごとく、歴史は友達、という池田氏の想いが伝わってきた。

今度カラオケで「狩りから稲作へ」を歌うときには、私も古代人の暮らしに想いを馳せながら歌ってみたい。
(エクソシスト太郎)

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■ 池田貴史オフィシャルサイト