卒業シーズンですね(写真はイメージです)。
卒業写真など、集合写真の右上にぽかりと浮かぶ「欠席者の顔写真」。

たまたま撮影時に欠席してしまったせいで、別枠に顔だけ貼り付けられるという憂き目に遭ったことのある人もいるだろう。
カメラの性能が上がり、撮影や合成技術などが上がっているいまでも、あれって存在するのだろうか。
小学校教諭に聞いた。

「年度はじめに撮る集合写真などでは、今でも欠席者の顔を丸く切り抜いて貼ったり、あるいは右上に合成で入れたりするという方法はよく用いられます。わざわざ業者さんに別の日に来てもらって、欠席者だけの撮影を設けるなどの時間がとれないことなどが主な理由です」

ネット上では、有名シェフのドヤ顔画像が様々な写真に貼り付けられたり、有名アイドルの泥酔&尻丸出し画像が、瞬時に様々な写真や名画にまで貼り付けられたりする世の中。
プロでなくとも、自然な合成写真を作ることぐらい造作もないことに思えるけれど……。
あるカメラマンは言う。
「技術的には、欠席者を自然に合成で集合写真に入れることは難しくないと思います。実際、欠席者の分はあらかじめ場所をあけて撮影し、後で欠席者の写真と合成したり、長期欠席者の分は、顔写真を既存の写真バックに合成したりという業者もありますよ」

技術的には難しくなくとも、「切り抜きの顔」を使用することには別の事情もあると、学校関係者は話す。
「公立の学校は地域とのつながりが非常に重要なので、上履きや紅白帽、体操服を買う指定のお店があるのと同じく、写真においても昔からお付き合いのあるご近所の写真屋さんなどを使うことがほとんど。ご近所の写真屋さんは年配の方がずっとやっていることも多く、撮影なども昔のままということもけっこうあるんです」

ただし、学校の周年記念誌や卒業アルバムなど記念の意味合いが大きいモノに関しては、欠席者の顔が切り抜きではなく、合成写真になることもあるそうだ。
「ただ、合成写真といっても、頭のラインが不自然にカクカク切れていたり、空中に浮いていたり、影がなかったりすることがときどきあるんですけどね(苦笑)」

特定の業者との癒着に近い事情はあるものの、実際、学校と地域との協力は不可欠であり、「地域に愛されること」は学校にとって重要な意味を持つことは確か。
学校で販売されるスナップ写真の値段がたいてい高いことなども同様に、仕方がない事情があるようだ。
(山田山子)