本当だ。“チキンラーメン”だ。

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仕事が忙しい時、ぶっちゃけ昼食はカップラーメンで済ますことが多い。……皆さん、お気に入りのカップラーメンってありますか?
あらゆるラーメンが発売されている、この昨今。しかし、だ。結局、本当に満足させてくれるのは老舗ブランドだったりします。私の場合、「カップヌードル」と「チキンラーメン」の2択。
さて、今日はチキンラーメンにしようかなぁ?

……と思ったけど、我々が知る「チキンラーメン」じゃない「チキンラーメン」があるらしいので、今日はそれにしようと思います。
千葉県船橋市にて営業するフランス料理店「La Cigogne(ラ・シゴーニュ)」で昨年11月より展開しているラーメンが、見もの。何と、2分の1羽のチキンがゴソッと入ったラーメンが話題を呼んでいるそうなんです!

しかし、誤解を呼びそうな名称だな……。でも、間違ってない。「チキンラーメン」です。
「念のため明星さんに確認を取ったのですが、『できることなら、違う名前でお願いしたいのですが……』と言われ、現在では『チキンとラーメン』というメニュー名で展開しています」(同店・森本シェフ)
何やかんやあったようだが、もう話題になってしまっている。

ところで、どうしてフランス料理店がラーメンをメニューに出しているのだろう?
「当店は昨年10月オープンなんですが、ウチが開店する前、隣の場所にラーメン店があったみたいなんです。そして、そこの常連さんが当店にお越しになり『ラーメンは作れない?』とリクエストされました」(森本シェフ)
いきなりの申し出であるが、実はこれは渡りに船。まず、森本さんにはまかないとしてラーメンを作る経験があったという。そして、もう一つ。森本さん自身、「こんなラーメンがあったらいいのに」と心に願う理想像があったらしいのだ。
「キックボクシングを昔からやっているのですが、練習後に食べられる高タンパク低カロリーのラーメンがあればいいな……と、以前より思っていたんです」(森本シェフ)
確かに、街のラーメン店で低カロリーメニューはなかなか難しいかもしれない。そしてそんな理想をクリアするのは、「チキン」だった。
そこからは、とんとん拍子。チキンが入ったラーメンだから「チキンラーメン」と名付け、お店のメニューに追加。深く考えず、そのものズバリで名付けてしまった。

これ、食べてみたいよねぇ? では早速、「チキンとラーメン」お願いします! ちなみに同メニュー、麺は“細縮れ麺”か“平打ち麺”から、スープは“塩”と“ゴマ味噌”から選択することができる。じゃあ、私は平打ち麺の塩味で。
……そして、数分後。どうやら、出来上がったみたいです。
「はい、お待ちどう様でした!」
出ましたー! 物凄いインパクト!! ラーメンの横に配置されるは、超本格派の丸焼きチキンである。

でもこれ、どんな風に食べたらいいんだろう?
「もう、お好みです! チキンを丸ごとラーメンに入れていただいてもいいですし、ラーメンと別にチキンを食べても構わないです。私の場合は、ムネをラーメンに入れつつ、モモにかぶりつく感じですね(笑)」(森本シェフ)
それ、美味そうだな……。じゃ、そうしよう!

まず、ムネとモモで真っ二つに分けてみた。……あらぁ、肉の断面がこれ以上ないほどにジューシー! 矢も盾も止まらず、かぶりつきました。言うまでもなく、メチャ美味い。表面はパリっとしてるのに、中はジュワッと。もう、ヤバいね。
じゃあ、ムネの方をラーメンに入れてしまいます。
「始めは『薄い』と感じる方もいるんですが、だんだんチキンの塩味が染みてきて、最終的にはほとんどの方がスープを飲み干します」(森本シェフ)
へぇー! うん、確かに食べ始めは凄くアッサリしている。薄味です。

ここで、再確認します。同店は、正真正銘のフランス料理店。よって、ラーメンの作り方もフレンチの考え方に基づいている。
「鶏のダシを使った“フォンドヴォライユ”という作り方なんです」(森本シェフ)
この“チキンラーメン”は、鶏と野菜と塩のみで味付けがなされ、余分なものは何一つ入っていないという。当然、化学調味料も無し。
また、ラーメンに乗る野菜も日替わり。なぜなら同店は農家から直接野菜(JAS指定の無農薬栽培)を取り寄せており、その野菜も当日特に状態の良いものがチョイスされているから。私が行った日は、最高の状態のネギとほうれん草が乗っていました。

しかし、これは初めての心境だ。ラーメンを食べているのだけど、チキンもラーメンの素材も、全て一級品。断じて“B級”ではないのです。あと、これだけのボリュームなのにカロリーが低いというのも良いね。
「常連さんには70代の男性もいらっしゃるのですが、いつもお酒を飲んだ後にこのラーメンを注文されます」(森本シェフ)
ご高齢の方も、無理なくいただけるメニューである。

そんなこんなで、ラーメンも完食間近。しかし、食べ始めの時とスープの味が全然違うな! 確実に、味が染みてきている。
「ラーメンマニアの方いわく『チキンが染みると塩分濃度が上がり、ラーメンとして完成形になる』とのことでした」(森本シェフ)
なるほど。要するに、最後のスープに旨味が凝縮されている。当然、飲み干します。……ウマい! 当たり前のように、スープ込みで平らげてしまいました。ごちそうさまでした!!

それにしても、こんな和洋折衷は初めてです。
「4日連続でお越しになり、毎日このラーメンを注文された方もいらっしゃいました」(森本シェフ)
ラーメンマニア界の中で、多大な反響を呼び起こしているという“チキンラーメン”(「チキンとラーメン」)。物凄いボリュームだが、1,000円です。
(寺西ジャジューカ)

関連リンク/取材協力
「La Cigogne」ホームページ