ガンプラにサビを施して、“太古から戦い続けてきた屈強戦士ザク”に。

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私だけですかね? おろしたてのスニーカーを履くのって、少しだけこっ恥ずかしい。いかにも、“買いたて”というのがバレバレで。微妙に、ちょっとだけ汚れてた方が座りがいいかもしれない。
それを思うと、ジーンズのダメージ加工やヒゲ加工はありがたい。通常だったら数年掛けて施される“味”が、買ったその日に装備されているのだから。

上記は、あくまで身に着けるものに関しての話。衣服等に関しては、確かに“汚れ”や“劣化”を好む人も多いと思う。では、身の回りのものに関してはどうなのか。生活用品だったり、家具だったり、己の趣味のものだったり。やっぱり、できるだけキレイでありたいですか? いつまでも“買いたて”のままでいたいですか?
しかしだ。最近は北欧家具のビンテージを好む人も多いじゃないですか。何とも言えない風合いは、長い年月を経たからこそ現れた“味”である。言葉では言い尽くせられない魅力。

長々と語ってきましたが、要はこのアイテムを紹介したかったのです。オンラインショップ「密買東京」が今年の2月より発売している『鉄錆シート』は、あらゆるものに“サビ加工”を施すことのできる一品であります。
使い方は、簡単。その名の通り、この商品は「サビ」がシートになっているので、カッターやハサミでお好みの形にカッティングしてください。そして、気になるものがあったら貼ってしまおう。すると、何とも言えない風合い(サビ)でそれらを覆うことができるから。
もちろん、対象は金属物じゃなくても良い。ノートとかプラモとか牛乳パックとか、サビとは無縁と思われるブツたちに切り貼りすると、一層面白いのだ。“太古から戦い続けてきた屈強戦士ザク”とか“歴史や物語を感じさせる牛乳パック”とか、有り得ない風景が眼前に!
「カッティングシートという素材を開発された『中川ケミカル』さんによる商品です。装飾材料としての“色”や“表現”を追求していく中で『扱いの難しい特殊な素材を、誰もが扱えるような究極の装飾素材として世の中に送り出していこう』と試行錯誤し、完成した商品の一つがこのシートでした。本物の素材だけが見せる色や質感が加わっており、より豊かで繊細な表現が手に入れられます」(「密買東京」担当者)

そうです、このサビは“本物”なんです。では、『鉄錆シート』の製造方法について。基本形は、3メートルもの長さがある大きな鉄粉シートです。これを、まずは天井高のある工場空間に台ごと立てかける。その刹那、取り出されるは秘密の液体が入った噴霧器。
さぁ、職人さんが脚立に上ります。そしてシートへ向かい、酸化を促す液体を噴霧! 溜まった滴からは、液垂れの筋がいくつも伝わります。徐々に酸化はスタートし、反応の早いところでは30分くらいでサビの予兆が現れ始める。数時間後には、サビがシート全体に広がります。
もちろん季節や室温などによって、同じ要領で酸化させても反応そのものや完成までの時間が毎回変わってしまうという。サビの魅力でもある本来コントロール不能な部分を可能な限り似通った仕上がりに持っていくために、かなりの実験が重ねられてきたそうです。

こうして出来上がった『鉄錆シート』には、黄身がかった明るめの「黄土色」と、赤みがかった深めの「焦茶色」という二つのカラーバリエーションが。
また、それぞれのカラーには2つの仕様が用意されている。満遍なくクセのない「無地」と、表情に変化のある「雨だれ模様」という選択肢であります。後者の「雨だれ模様」に関しては、前述の製造方法を振り返っていただくと製造工程がおわかりになると思う。液垂れの筋が、いわゆるそれです。

「元々は建築内装材として開発されている物なので、一般的には空間の装飾用として工事業者さんなどが利用することの多い商品です。ただ我々としては内装だけにとらわれず、身近な物を楽しくデコレーションする素材として一般の方にも広く親しんでいただければと思っています」(「密買東京」担当者)
建築内装での大胆な『鉄錆シート』使用は圧倒的な重厚感をもたらし、鉄サビならではの魅力が一段と発揮されるだろう。

さて。では皆さんは、何にこの「サビ」を施したいと思いますか? せっかくだから我々は、身近なものへの活用で新境地を開拓したい。パソコン、マウス、電話、手帳、時計、額縁、テレビ、オーディオ、ギター、太鼓などなど……。
どれも、想像の枠を超えた不可思議な光景を楽しむことができるはずです。
(寺西ジャジューカ)

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■ 「密買東京」ホームページ