「ハチのヘッドドレス」(作:東京わにデパート)

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ありそうでなかったヘッドドレス(かぶりもの)。それが、籐で作ったヘッドドレスだ。かわいくて斬新ということで、ファッションを中心とした展示会「rooms」や、先日、初めて出展したという「東京ギフトショー」で注目の的となっていた。一体どんな人が作っているのだろうか?籐のヘッドドレスを作っているクリエイティブユニット「東京わにデパート」の穂坂圭佑さんと梅北未央さんにお話を伺った。

――奇想天外で、思わずかぶりたくなりますね!どのようにして作ってるのですか?
「籐を水に1時間ほどつけておくと柔らかくなります。乾くと固くなるので、柔らかいうちに形を作るんです。冬に暖房をつけた状態で形を作ると、あっという間に乾いてしまうので、時間との闘いですね」(穂坂さん)

あとは、鍋に籐を入れて、布を染める時に使われる染料で煮ると色がつくという。ちなみに、形を間違えてしまった時は、水に戻して再び形を作りなおす。

――作品は何種類ぐらいありますか?
「ざっと数えて、100作品ぐらいはありますね。未公開作品も結構ありますけど」(梅北さん)

――100作品も!?そもそも、なぜ籐を使ってヘッドドレスやオブジェを作ろうと?
「私達がユニットを組んだのは2009年なんですが、当初はお互いに別々の系統の作品を作ってたんです。僕はオートマタ(からくりの木のおもちゃ)を作ってて、梅北さんはイラストを描いてました。ちょうど、私達が通っていた武蔵野美術大学に、籐を編んでいるすごい講師の方がいて『籐でポップなものを作ったら面白いんじゃないか』と思って、それからは籐を使った作品を作り始めました」(穂坂さん)

初めて作った作品は「かたつむり」のオブジェ。大きさは3mを超える巨大な作品だ。(写真参照)
「一番最初はでっかいのを作ろうと思って、1ヶ月かけて作りました。この時は、色の付け方がよく分からなかったので、スプレーでつけました」(穂坂さん)

その後、「ペンギン」や「三輪車」などを作り、話題のヘッドドレスの制作にも取り組むようになる。
「ヘッドドレスは、イギリスの皇族のヘッドドレスを籐で作ってみたら面白いんじゃないかと思って作ったんです」(梅北さん)

――作るのが大変なところは?
「全く同じようなパーツを作るのが大変ですね。例えば、ホットケーキを重ねた形のヘッドドレスだと、ホットケーキを同じ大きさに作るのが大変です。設計図とかがあるわけではないので(苦笑)」

「東京わにデパート」が籐で作ったヘッドドレスは、斬新でかわいいところが話題となり、雑誌「装苑」でも取り上げられた。

――今後の目標を教えてください
「夢は、い〜〜〜〜っぱいあります。ヘッドドレスを、きゃりーぱみゅぱみゅさんにつけていただけたら…って思ってます!MVか何かに使っていただけたら最高です。できるならば、セットのデザインもしてみたいです。それと、ハイブランドのウィンドウのディスプレイを担当してみたいです!それから、私達がデザインしたものがMOMAや原美術館や21世紀美術館などのミュージアムショップで扱っていただけたら…と思ってます。あとは、個展を開きたいです!!」(梅北さん)

次から次へと出てくる目標。
「いいなぁ〜。夢がたくさんあって…」
いや、しみじみしている場合ではない。

――この疑問に触れておかないと、読者の皆さんも気持ちが落ち着かないと思いますので、ここで聞いちゃいますが、なぜ、ユニット名が「東京わにデパート」なんですか?
「ユニットを組んだ発祥の地が“東京”(銀座のドトールコーヒー)で、“わに”は、何も動じない感じが良いなと思いまして、なおかつ、屋上に遊園地があったり、レストランがあったりでワクワクする“デパート”のような楽しいものを提供していきたいという気持ちから、この名前にしました」(穂坂さん)

漢字と平仮名とカタカナが混ざった名前で、バランスも良いということもあって決めたという。
――なぜ、男女の2人で組もうと?
「武蔵野美術大学で知り合って、学生時代は二人ともダメな学生だったんですけど、なんとなく2人だったら頑張れるんじゃないかと思いまして…」(梅北さん)
梅北さんは大学を卒業後、販売の仕事や図書館の司書などを経て現在に至る。“ちょっと長め”に学生時代を送った穂坂さんが卒業してから、もの作りに専念。発想する際は、果物とか肉とか、色々な絵を描いたカードを見ながら、2人で発想を膨らませていくという。
「コレとコレを合わせたら、面白いんじゃない?っていう感じで言いながら2人で考えてます」(梅北さん)

穂坂さんは、梅北さんの大胆なところを尊敬していて、梅北さんは、穂坂さんのファンタジックな考え方を尊敬しているそうだ。

――お互いの第一印象は?
梅北さん「怖いイメージでしたよ(笑)。男なのに髪も長かったし、当初は趣味は合わないと思いました」
穂坂さん「マユ毛の形が面白いなぁ〜って思いました(笑)」

男性だけど、どこかファンタジーな穂坂さんと、どこかおもいっきりの良い発想の梅北さん。2人がこの先、どんな人生を編んでいくのか楽しみである。(やきそばかおる)


■東京わにデパート
http://www.tokyo-wani.net/
穂坂圭佑と梅北未央によるクリエイティブユニット。2012年2月にrooms24イエローブースでデビュー。共に武蔵野美術大学 造形学部卒業。「なつかしく、新しく、おもしろい、どこにもないもの。」をテーマに、ラタンの作品の制作を中心に、撮影用プロップの提供、ウィンドウディスプレイの制作など、幅広い規模の制作を行っている。

※2月14日(2013年)まで、代々木第一体育館で開催中の「rooms26」に出展中。
http://www.roomsroom.com/