雅楽を演奏中の凛々しい岩佐さん。

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ツイッターで3万2千リツイートされたという「雅楽奏者にジャスラックが著作料を請求した電話」事件。事件は大きく取り上げられましたが、いったい雅楽(ががく)ってどんなものなの? ふつうはお正月や神社で「プワ〜ン」と流れているものしか聞いたことがない気が……。そこで事件の当事者である雅楽奏者の岩佐堅志さんにお話を伺ってみました。

――雅楽ってどんなものなのでしょうか?
「雅楽はもとはといえば、日本古来の楽舞と大陸・朝鮮半島から渡ってきた楽舞を含んだものをいいます。楽器は、笙(しょう)、篳篥(ひちりき)、龍笛(りゅうてき)、琵琶、太鼓などを使い、正式には16人で演奏します。京都・奈良・大阪が源流で、幾多の変遷を繰り返し、約150年前にやっとその楽譜がまとめられた古典音楽です。一般に神社で演奏されるイメージがありますが、元々は仏教音楽であり、例えば関西だと四天王寺等で雅楽の演奏が行われています」

――雅楽奏者にはどうやってなるのでしょうか?
「私の場合は、関西育ちで親戚が昔からやっていて慣れ親しんでいました。高校もそういった環境の高校に進んだので、自然と雅楽をやるようになりましたね。最近、雅楽師という言葉を聞きますが職業で雅楽師という名称はありません。能楽師や狂言師という言い方に対して作った造語でしょう。なぜそういった職業名がないかといえば、雅楽を演奏するだけで食べていける人は日本でほとんどいないからです」

――職業としては成り立たないんですか?
「雅楽というのは、今は結婚式とか神社でしか演奏されないので需要がありません。ほとんどが神主さんとかお坊さんなど宗教専従者の副業で、呼ばれたときだけ演奏する形ですね。職業で唯一あるとすれば、宮内庁の職員である楽師だけです。しかし楽師はバイオリン等などの洋楽の楽器も覚えなければいけないので、純粋に雅楽奏者とは言えないかも知れません。楽師先生達は本当に大変だと思います」

――誰でもその楽師になることは可能なのでしょうか?
「宮内庁楽師の大半は代々天皇に仕え雅楽演奏を生業とする家柄か、その周辺の縁故のある人だけです。最近は一般にも門戸を開いているようですが、楽師になって楽部に入るためには、基本的に中学卒業後7年の修業が必要になり、高校や大学に行きたい場合は夜間の定時制に行くといった厳しい生活が要求されます。宮内庁楽部の定員は25名と決まっているので募集の無い年もあるので、普通の人が入れる可能性は少ないですね」

――雅楽人口が増えているような気がしますけれど?
「今、平安時代以来の雅楽ブームと言われています。最近はカルチャースクールでも気軽に習う事が出来ますが、雅楽はもともと外に出すべきでないとしてあまり一般には普及されてこなかった背景があります。私も雅楽をカルチャースクールで教えていますが、その流れがだんだんと全国でも広がったので相対的に雅楽人口は増えているんじゃないでしょうか。それに今は不況で、それは宗教の世界も同じで、たとえば神社に就職が難しくなっていますので就職のために雅楽を学ぶ人も増えているようです」

岩佐さんはもっと演奏会を開催して雅楽をたくさんの人に広めたいそうです。1500年前の音楽が今も同じに聴けるなんて素晴らしい!気軽にレストランやコンサートで雅楽が気軽に聴けるようになるといいですね〜!!
(カシハラ@姐御)