甲冑と郷土史で歴史ブームを盛り上げる!! “戦国史跡ナビゲーター”の仕事とは
“みかわのひで”さんは自ら愛知県内の城や古戦場などをメインに史跡を巡ったレポートをブログ「あの戦国の現場へ行こう！」に掲載。様々な歴史祭りやイベントにマイ甲冑で“出陣”するなど幅広い活動を行っている。
単なるマニアレベルの活動ではなく、尾張一宮観光大学などで歴史に関する講演会を行っていたり、名古屋のご当地ヒーローとして人気の「名古屋おもてなし武将隊」に甲冑の着付けやほら貝の吹き方（！）、所作などを指導したというエピソードからも、その歴史専門家としての顔がうかがえる。
ブログではわかりやすくまとめた各お城の歴史のほか、観光で訪れる人のために電車と車それぞれでのアクセス方法を画像入りで紹介していたり、地元名物のグルメやおみやげの情報までを丁寧に解説している。
「少しマニアックな城になると駅からの案内板がなかったりして、他府県から来た人にはかなりわかりにくいんですよ。それに、せっかく行くならご飯もファミレスやファストフードじゃなく、名産品や歴史にゆかりのあるものを食べたいじゃないですか？ 城のデータをまとめた本やサイトはたくさんありますが、私は“現地・現物”をモットーに、実際に行った人しかわからないような情報を伝えたくてブログにまとめています」（みかわのひで）
ちなみに、歴史初心者にもおすすめのお城を聞いてみたところ、「おもてなし隊のいる名古屋城はもちろんですが、国宝の犬山城は特におすすめですね。江戸時代には城下町があったところで、その復元ですとか歴史観光を支援する動きが官民一体で進められているんですよ。甲冑を試着できる工房やからくり人形のミュージアムがあったり、お城以外でも楽しめます」とのこと。
史跡に関しての研究だけでなく、おもてなし隊に教えたという甲冑の着付けや補修、ほら貝の吹き方、また火縄銃の使い方など、戦国時代の文化や作法に関してもかなり詳しい。
「そういった技術を教えてくれる学校はないので、歴史関係の研究会ですとか、専門家の先生のところへ弟子入りして教えてもらうんです。最初は『なんだお前は？』的な反応だったりするんですが（笑）、当時の作法を勉強したいと一生懸命説明して……。私もまだ修行中ですが、ほら貝は貝の種類によっては4種類まで音が出せるので、簡単なメロディくらいなら表現できるんです」
目の前に“へぇボタン”があったら連打したくなるようなコメントがポンポン出てくるのだが、このあたりが本やテレビでは身に着けられない“現地・現物”主義の賜物なのだろう。
ところで彼の歴史専門家としてではなく、ガチの歴史ファンとしての顔が見られる活動がある。“歴史ファンが”“甲冑などの衣装を着て”“歴史の現場に赴き”“歴史に浸る”という趣向の「甲冑ゲリラライブ」というのがそれなのだが、ブログや本人HPで見られる動画を見る限り、“気合いの入りすぎた戦国武将体験”的なニュアンスでかなり興味をそそられるので必見だ。
実はふだんは普通のサラリーマンとして働いているみかわのひでさん。例年4月と10月は土日もお祭りやイベント出演でまったく休みがないのだという。活動がらみで有給を取るときには「魂の活動です！」と報告しているそうで、上司の「お、おぅ……そうか」という反応が目に見えるようだが（笑）、この秋冬もさまざまな祭りやイベントに出演するそうなので詳しくはブログをチェックしてほしい。
(古知屋ジュン)
