欧州へ来て、約1週間が過ぎた。9月22日のシャルケ対バイエルンに始まり、23、25、26、28、29日とドイツで6試合を観戦した。
 今季のブンデスリーガでは、第6節終了時点で2位のフランクフルトや6位のデュッセルドルフなど、2部からの昇格チームの健闘が目を引く。連続ゴールで脚光を浴びる乾のフランクフルトの試合は、見ることが出来ていないが、9月28日ホームでシャルケと対戦したデュッセルドルフは2点のビハインドに追いつき、2−2で試合を終えたときには勝利したかのような歓喜でスタジアムが湧いた。

「昇格してきたチームは1点を失っても、『俺らはここからだろう』という粘り強さがあるんだね。しかもスタジアムも雰囲気もすごくいいし、後半は1点を返して乗ってきた相手に押されっぱなしだったよね」
 試合出場はできなかった内田が、そんな風に試合を振り返った。
 相手の勢いに押された前半と違い、逆に4−3−1−2とシステムを変えたシャルケの穴を突くようにデュッセルドルフは2列目からの鋭い飛び出しで試合の流れをつかんだ。シャルケは焦りからミスを多発し、跳ね返すことができなかった。

■思わぬ苦戦 
 シーズン序盤戦、思わぬ苦戦を強いられているのがヴォルフスブルクとシュトゥットガルトだろう。ヴォルフスブルクは前節のバイエルン戦に続き、9月30日、対戦時の順位では下位のマインツに敗れている。構想外としてベンチ入りもさせていない長谷部の出番がやってくるのかもしれない。

 そして第6節で、ニュルンベルク相手にやっと初勝利を収められたシュトゥットガルト。毎シーズン序盤は苦しんでいるのだけれど、同じ監督のもとそれが再び繰り返されていることは、ヴォルフスブルク同様に指揮官のクビも危なくなっていくのだろうか?

 前季もそうだったが、どこかのクラブが解任や辞任したというニュースが流れると、「実はうちも……」みたいな感じで、監督が代わることがある。先陣を切って、指揮官を交代させる勇気ある決断を下すのは果たしてどのクラブか?

 私が観戦した試合で、一番不安に思ったのが、実は清武のニュルンベルクだった。プレースキッカーを任されている清武のアシストの数やゴール数は目を見張るが、チーム総ゴール数のほとんどが清武のセットプレーだという話を現地記者に聞いており、多少の不安と期待とを胸に9月26日のハノーファー対ニュルンベルクの試合へでかけた。

 中盤でパスを回していたところで、ボールを奪われてそこから1失点すると、ディフェンダーたちの弱気がスタンドまで伝わってくる。ゴールキックの場面でも、「俺にはパスを出さないでね」みたいな空気をまとうディフェンスの選手が気になった。ゴールキーパーとディフェンス陣とのあいだの消極的なパス回しを、相手選手に奪われて2失点目を許すと、その後もインターセプトされて3点、4点と失点を重ねたニュルンベルク。1点を返したものの試合はそのまま終了。

 中盤でプレーする清武にはほとんどいいパスは入らない。セットプレーでも決めきれず、試合後の清武は「話すことは何もない」と言うだけだった。

 第6節、そんなニュルンベルクから勝ち点3を手にして、一息ついたのはシュトゥットガルトだった。岡崎は前節のホッヘンハイム戦で負傷し試合には出ていない。

 そのホッヘンハイムが最下位のアウブスブルクと対戦した第6節。ホームのスタンドには空席が目立った。平日のハノーファー対ニュルンベルクも満員ではなかったが、週末の試合にしてはさびしい光景だった。

 自陣に引き、守備を固めたアウブスブルグを前にホッヘンハイムもなかなか攻めきれない。試合前日にレギュラー選手が交通事故にあい、生死をさまよっているという状況を考えると難しい試合だっただろう。宇佐美が個人技で攻め入るシーンでは、ファールをとってもらえない不運も続いた。そして0−0で試合終了。ドーピング検査を受けた宇佐美の取材対応もなく、帰路についた。