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 第二次世界大戦の終結から73年が過ぎた2018年、月の裏側に隠れていたナチスの残党が地球侵略にやってくる――。この設定だけでご飯が何杯でもいけそうだと感じる人には説明不要だが、距離を置いてしまった人にこそ敢えて観てもらいたい、今年一番の愛すべきおバカ映画『アイアン・スカイ』。9月28日の公開から初の週末を迎え、日本を襲来した台風17号にも負けじと、劇場には多くの熱狂的なファンが詰めかけた。物語の主人公は、ナチスに心酔する純真無垢な地球学者レナーテ・リヒター。地球の文化に触れ、洗脳から解き放たれていくキュートかつセクシーなヒロインの美しき姿に男性諸君は心奪われるに違いない。そんな彼女を熱演したユリア・ディーツェに、自身が掲げる理想についてなど独占インタビューを行った。

――まずは、本作に出演するに至った経緯から教えて下さい。

ユリア:キャスティング・ディレクターから「すごく面白い脚本が今、手元にあるんだけど、一度読んでみてくれないか?」と電話が掛かってきて、ゲラゲラ笑いながらいっぺんに読んでしまったので、「是非!」とオーディションを受けることになりました。その後、フィンランドでも最終的なオーディションを受けたんですけど、クラウスを殺すシーンがすごくウケて、みんな目を開いて見て下さって、監督のティモから「君に決まったよ」と言われました(笑)。

――ファンからのカンパで1億円という大金を集めた本作の魅力や、他作品との違いをどのように感じますか?

ユリア:このアイディアが生まれた場所がサウナで、フィンランドの人達が酔っ払いながらアイディアを出し合って生まれた所からして特別だと思うんですけど、すごくパンクロック的で、アナーキー的な要素で作られていると思いました。色々な資金集めの方法があると思いますけど、スタジオに頼らずにファンから資金をもらうということは、ある意味、制作サイドが自分のビジョンをそのままスクリーンに出せる自由を得られて、素晴らしいことだと思います。外観はとてもフィルム・ノワール的な所もあって、トリュフォーとかゴダールの要素もありつつ、物語はとてもクレイジーで全く新しい発想のものなので、そこが特別な点で面白くて、クレイジーな傑作だと思います。文化的で、色々な人種のバカらしいジョークも入っているんだけど、そこはそこで大好きな部分でもあります。あとは2、3回観るとよく分かると思うんですけど、ジョークとかロマンスとか全ての根底にはすごく政治に対する批判、メッセージも含まれていて、とてもインテリだと思います。

例えば私のキャラクターは、月面のダークサイドで生まれ育って、日光を浴びたことも、地球にも行ったこともない。イデオロギーも全て洗脳されているから、彼女の考え方は全て政府に牛耳られている訳です。この映画の中では、そういった状況で育って、限られた知識や情報しか得られず、洗脳されていることが如何に危険かということも語られていると思います。

――ナチス軍女性レナーテを演じるために、どんなことを気を付けましたか?彼女のセクシーさの秘訣を教えて下さい。

ユリア:準備段階で考えたのは、私達地球人はティーンエイジャーの時に、色んな大人やテレビ、映画やポスターを見たりして、こういう服装をしたいとか、女性らしさやセクシーさを真似たり、学んでいく訳ですよね。だけど、彼女は地球に行ったことがないので、そういったお手本が全く無い。月面はどちらかと言うと男性に牛耳られている社会で、女性がいたとしても、あまり女性らしくないかもしれない。では、彼女はどこから女らしさやセクシーさを学ぶのか?と考えたのが、マレーネ・ディートリッヒの映画を観てるんじゃないかなと思った訳です。彼女にとってのアイドルは、チャップリンとディートリッヒであると。だから、私自身もディートリッヒの映画を何本も観て、彼女の仕草やセクシーさを学びました。

でも、撮影現場では、まずは一旦それを忘れて、彼女はすごく少女らしい、イノセントな所から始まって、どんどん大人になり、強い女性へと成長していく。言い換えれば180度変わっていくような感じがしました。私はよく動物をイメージしながら演じるんですけど、180度変わる動物は何かと思い考えたのが、白鳥だったんです。白鳥はヒナの時は醜いけど、どんどん成長すると美しくなっていき、威厳をもっている。彼女は制服を着ていますけど、私は常に肩甲骨の辺りから羽根が生えているようなイメージをしながら、背筋を整えて。白鳥は首も長いから、いつもアゴを少し上げて、高い理想を求めている女性をイメージしながら演じました。

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