「9月10日告示の民主党代表選挙で鳩山グループは必ず野田首相に対抗馬を立てる。もともと民主党は鳩山元首相がつくった政党。こっちが本家だ」

鳩山由紀夫元首相の側近の鼻息が荒い。鳩山氏は、盟友の小沢一郎氏が民主党を離党したため、党内少数派の悲哀を味わっているが「巻き返しは可能」とこの側近は言う。

ポイントは、民主党のもう1人の創設者である菅直人前首相との関係修復だという。菅氏が首相時代に鳩山氏の反対を無視して小沢切りをしたため2人の関係はこじれたが、鳩山氏とも近い菅側近によると「菅−鳩山は関係を修復しつつある。菅鳩で野田の対抗馬を擁立する」という。この側近が話す。

「前回代表選挙で菅氏は野田氏を推した。その条件として菅氏は経産大臣ポストを要求、側近の鉢呂吉雄氏を押し込んだ。ところが鉢呂氏は就任後間もなく、“放射能をつけちゃうぞ”と記者にオフレコで発言。それが報じられるや野田首相は鉢呂氏を守りもせず、あっさり切り捨てた。決定的だったのは、停止中の原発を野田首相が再稼働させたこと。浜岡原発を止めた男である菅氏には許せなかった」

この菅側近によると、「アンチ野田の対抗馬として、すでに鳩山、菅両内閣の閣僚経験者を中心に候補者の名前が浮上している」という。

だが鳩山、菅で対抗馬を擁立できたとしても、小沢グループの残党を加えても党内の過半数にはとても及びそうもない。その場合はどうするか。

「そのときは民主党は2つに分裂だ。新党旗揚げも視野に入れている。菅−鳩グループは野田再選なら国会の首班指名で野田氏に投票しない。その一方、新党は橋下徹大阪市長率いる大阪維新の会などと連携して総選挙を戦い、選挙後に維新と連立政権を組む」(同前)

実現性ははなはだ疑問だが、こうした構想もあるのだ。

鳩山氏は昨年暮れ、母親の安子さんからブリヂストン株など時価42億円相当の贈与を受け、安子さんが鳩山氏のために北海道東室蘭に建てた日本一豪華な個人事務所も贈与された。「これだけの資金があれば新党資金は十分だ」とは先の菅側近。結局は金目当て?