業者に頼めばそれなりとなる「ホームページ制作費」ですが、自分で作ればコストはほとんどかかりません。

ドメインの管理料は年間1,000円もせず、ホームページを公開するためのレンタルサーバも、毎月数百円から用意できます。

H社長はインターネット黎明期よりホームページ制作を手がけており、サイトを作ることはお手の物でした。

また各種CMS(ホームページを制作、管理するソフト)の進化のおかげで、作業も容易になっています。

これが「ホームページ0.2」です。

例えば、家賃のように毎月数十万円も赤字が発生していれば「撤退」を即断することでしょう。

ところが毎月、数百円ならもう少し様子を見ようと結論を先送りします。

さらにWeb上では「訪問者」がフレンドリーに声をかけてきて、手応えがあると錯覚します。

「金を払わないものは客ではない」この商売の大原則を忘れてしまうのも「ホームページ0.2」です。

そして、「ファンのため」と「ピコにゃんブログ」の更新に時間が浪費され、ビジネスモデルの失敗に気づく時間すら失います。

筆者はこうした損失を「見えない赤字」と呼んでいます。

また、メディアに取り上げられているのも逆効果で、時々舞台に上がる売れない演歌歌手のように、時折当たるスポットライトに「いつかは大ヒット」といじましく夢を見ることが、傷口を拡げていることにH社長は今も気がついていません。

筆者が「月商3万円」に陥ったのは「見えない赤字」に気が付いて、起業時のビジネスモデルを捨て去った時のことです。

「見える赤字」に10円ハゲもできましたが、課題がはっきりわかっていれば、あとは立ち向かうだけ。

そして、気がつけば10年です。