これが、“一人しゃぶしゃぶ”の一人前です。

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最近、よく聞く「お一人様」なる言葉。実際に、流行っているのだろう。かつて、私も上野の“一人焼き肉専門店”に取材に行ったことがある。つい最近は、神田駅前の“一人カラオケ専門店”にお伺いした。

そして、またしてもこの場所! 「お一人様」の聖地・神田駅前にて去年10月5日にオープンしたのは、「一人しゃぶしゃぶ信州屋」である。
きました、ついに“一人しゃぶしゃぶ”。俺だけの鍋。一人占め。権力者になった気分。それを体験しに、神田に再上陸です。

場所は、駅を降りてすぐのところ。ちょっと歩いて店に着き、店内に入るとカウンター席の一つ一つにIHコンロが置いてある。自分だけのコンロだ。この絵が、いきなり新鮮じゃないか。

ところで、どうしておひとり様の“しゃぶしゃぶ店”を開店しようと思ったのか?
「鍋には、どうしても『たくさんの人で食べる』というイメージがありますが、そうなると周りに気を使うことも出てきますよね。だからこそ一人で気兼ね無く、高級なイメージのあるしゃぶしゃぶをリーズナブルに食べていただきたいと考えました」(同店・担当者)

食べてみたいです! もう、四の五の言わずにオーダーいきます。牛肉と豚肉の両方を楽しめる、「ミックスしゃぶランチ」(780円)お願いします。
……注文すると、すぐさまお鍋が現れた。カウンター越しに、ドカン! と置かれるしゃぶしゃぶ鍋、新感覚だ。続いて、お皿にたっぷりの牛肉と豚肉(150グラム)も登場。そして、ご飯とお新香。プラス、トッピング用のうどん(月曜のみのサービス)まで。これで、一人前です。当然か? 何しろ、“一人しゃぶしゃぶ”専門店なのだから。

じゃあ、いただきますよ! 私が真っ先に箸を付けたのは、牛。その次は、豚。そして、牛。そして、豚。誰に気兼ねすることもない。うるさい鍋奉行もいない。「お前ばっか……」と、文句言う奴もいない。この鍋は、俺の天下だ。
また、このお肉が凄くサッパリしていて、バクバク口に入ってしまう。それも、自分のペースで。ま〜あ、贅沢ですよ!

それにしても、凄い量である。肉も野菜も、相当なボリューム。これ、みんな一人で平らげてるのだろうか?
「ええ、イケちゃいますね。当店では、ごはんの大盛りも普通盛りも料金は変わりません。ですので、大盛りを頼んで完食する女性の方もいらっしゃいます」(担当者)
ちなみに同店を利用するのは、主に近辺に勤務するサラリーマンたち。その中で、女性客は3〜4割を占めるそうだ。当然、男性も女性もしゃぶしゃぶを一人で平らげてしまう。私も、いつの間にかペロリといけてしまっていた。

……ということは、こうも言えるか? “一人しゃぶしゃぶ”は、コストパフォーマンスが高い、と。
「このお代(ランチ780円)と同じ額で『まだ、お腹に足りねぇなあ』というお店は、結構あると思うんですね。当店では『こんなに、たくさん食べられるのか』と、常連さんになるお客様も多いです」(担当者)

そして、面白いのは土日である。ビジネスマンが休息の日、同店の風景も少し変わってくる。
「地方から東京にやってきて、『ニュースで観たから』と来ていただけるお客様もいらっしゃいます。また、“一人カラオケ”を楽しむ前に来て、お一人様をセット(しゃぶしゃぶ→カラオケ)で楽しんでいる方も多いようです」(担当者)
まさに、“お一人様の聖地”。名古屋にパチンコ屋が多いようなものかもしれない。

ただ、私は期待する。神田だけに閉じ込めておくのは、非常にもったいないコンセプトと思うから。2号店、3号店の予定はないのだろうか?
「私も聞いたわけではないのですが、オーナーはもう考えていると思いますよ」(担当者)

地方から来店する方もいるそうだし、ますます「お一人様」の波は全国に拡大していくに違いない。
(寺西ジャジューカ)

●一人しゃぶしゃぶ信州屋
東京都千代田区鍛冶町2-12-9 一番街共同ビル 1F
TEL:03-3254-9005