日本の有名なアニメ映画「秒速5センチメートル」を盗作していた中国アニメ「心霊の窓」がこのほど、広西チワン族自治区の最高文芸賞に当たる賞を受賞したことが中国ネット上で大きな話題となっている。29日付で環球時報(電子版)が報じた。

 2009年9月の「心霊の窓」初回放送後、盗作の疑いが浮上した。制作会社による調査の結果、2500を超えるカットの中で28のカットが日本のアニメ映画「秒速5センチメートル」と酷似していることが確認され、そのうちの複数のシーンで盗用が明白であった。会社側は制作を下請け会社に委託しており、最終チェックが不十分であったためこのような重大な問題を招いたことを明らかにした。

 制作会社側は「2009年11月以降に作品の盗用部分はすべて修正されており、今回の受賞は修正後の作品に対するものゆえ、問題はない」と述べた。さらに賞を授与した広西チワン族自治区共産党委員会宣伝部文芸局は、「ネットユーザーの反応を考え、われわれはさらに調査を行なうつもりだ。もしも『心霊の窓』の盗作疑惑が晴れないようであれば、われわれは厳正な処分を下すだろう」と明らかにした。

 記事は、「最近の中国アニメ作品には海外作品をまねたものが少なくない」と指摘、「名前、人物、カットや物語の内容までもが海外作品と酷似しており、広く非難を集めている」と報じた。

 広西民族大学芸術課主任の秦林毅氏は、「アニメは中国において新しい業界であり専門的人材が欠けているため、時間をかけて育成に専念する必要がある。しかし、現在のところ海外アニメ作品を盗用する現象がよく見られることは、イノベーション不足や技術面での未熟さが原因であり、とりわけ用心すべきなのは目の前の利益を求める態度である。」と述べた。(編集担当:及川源十郎)