QUMAを用いた3Dモーションキャプチャ装置

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筑波大学発ベンチャー企業であるソフトイーサ株式会社が開発中の、画期的な3D入力デバイス技術 (開発コード名: 「QUMA / クーマ」)を応用した最初の製品である3Dモーションキャプチャ装置が公開された。

QUMA技術および応用製品の研究開発は、ソフトイーサ、株式会社セルシスおよび電気通信大学発ベンチャー企業である株式会社ビビアンと共に、2009年度から行ってきたもの。

今回、QUMAを応用した製品のプロトタイプが完成し、製品の特徴をまとめたビデオを3社が共同で作成し、公開された。



本製品は間接稼働型のフィギュアやモデル人形といった形状となっており、コンピュータのマウスやキーボードのように、卓上に設置することができる小さな入力デバイスで、USB端子で接続でき、バスパワーで動作する。

人間のような形状の手足、胴体、首の各部分は手で自由に動かすことができ、関節内部にある関節センサーにより、特定の瞬間の人形のポーズ (姿勢) がキャプチャーされ、USB を経由してコンピュータに入力され、コンピュータ上で動作している 3D-CGアプリケーションやゲームソフトウェア等のプログラムに、本製品のポーズをリアルタイムに取り込むことができるというもの。

従来、コンピュータグラフィックス (CG) の分野では、人型のキャラクターを配置・操作する際に、キーボードやマウス等を用いてキャラクターの各関節を画面内で調整する必要があり、直感的な操作ではないため、キャラクターに意図した動作をさせるためには、相当の訓練が必要だったが、本製品を使用すると、3D-CG ソフトウェアの操作に関する訓練を受けることなく、容易にかつ直観的に、コンピュータ内の任意の人型のキャラクターを操作することができる。

今回製品のフレーム、メインユニット設計、デザインを担当しているのは「武装神姫」、「figma」などフル可動ガレージキットで有名なフィギュア原型師の浅井真紀氏。

製品のシルエットからも洗練された浅井氏の仕事が伝わってくる作りとなっている。

本製品は、製品化に必要な設計の大部分が終了し、量産のための準備を現在おこなっているとのこと。

3D作品制作はもちろん、イラスト作成のモデルや、ゲームの操作など様々な可能性が見える技術なのでどういった形で製品化されていくのかがとても楽しみだ。

■QUMA技術とは
本製品の基礎となっているシステムは「QUMA 技術」と呼ばれています。QUMA 技術は、複数のシステムモジュールから成り、自由に結合することが可能な関節センサーおよび関節センサーからの信号を集約して多重化し USB バスを用いて PC に伝送することができるハードウェアおよびファームウェアから構成されています。

QUMA 技術では、自由な形に関節を組み合わせることができます。本製品のような人型のハードウェアに限らず、いろいろな形状の動物 (たとえば、ラクダ、ヘビなど) に合わせた関節構成を組み立てることができます。

QUMA 技術の研究開発には、現在、ソフトイーサ、セルシス、ビビアンおよび一般社団法人 3D データを活用する会・3D-GAN が参画しており、筑波大学大学院とも共同研究を行っています。本製品は、これらの研究開発の成果が組み込まれています。

QUMA 技術は、将来的には本製品のようなモーションキャプチャ装置以外にも、たとえば、ゲームセンター等の機材のコントローラに組み込んだり、または 3D アニメーション製作の専門学校等で教材として使用したりすることができます。ソフトイーサでは、今後、国内および海外のパートナー様と連携し、QUMA 技術を様々な分野に拡大していきたいと考えております。

「QUMA」 (クーマ) の名称は、最初のバージョンの試作機 (2009 年製作) の外観がクマのぬいぐるみであったことに由来しています。

○仕様
名称:QUMA (クーマ) 技術
形状:人型を含め、関節を有する任意の形状に利用可能
PCとの接続方式:USB 2.0(HID デバイスとして認識されるためデバイスドライバのインストールは不要)
電源:USBバスパワーによる給電で動作
対応OS:Windows および Mac OS X (予定)
対応ソフトウェア:QUMA SDKを用いてQUMAと接続できるように開発されたソフトウェア

○ソフトイーサ株式会社 報道資料:http://www.softether.co.jp/jp/news/110721.aspx