補聴器をつける人のイメージ、海外では“大きな違いが”
聴力に対する見識が高い中川雅文氏(創進会 みつわ台総合病院副院長 聴覚センター長)は、それらの外見上の心配より、もっと重要なことがあると話す。「難聴の症状は、“聴き取り”能力の一部が遮断された状態です。その状態から起こりえる不便さよりも、言語という重要な刺激が乏しくなる変化による“脳の衰え”を心配してほしい」と訴える。その悪影響「小さな声が聞こえない…、高い音が聞きづらい…、大きい音が響くなどの不快さに直面すると、難聴者の中には興味もやる気も積極性もなくなり、引きこもってしまう人が少なくありません。脳の休眠部分が増えていくと、最悪の場合、認知症のような状態まで進んでしまうことがあります」
中川氏は続けて、コンシューマーレポートを扱う米国の専門機関データを紹介した。
「同レベルの難聴を持つ方々への調査。補聴器をつけているか、いないかで収入差を調べたところ、補聴器をつけていない人に比べて1.3倍の収入増。最大で2倍の開きが出たそうです」
そうなった状況を分析して…。
「人は社会を築き、集団生活する生き物。集団の中でのコミュニケーション能力は、イニシアティブをとったり、仲間との和を保つのに重要な要素。主なコミュニケーションツールである『言葉』を理解するため、大脳の広い範囲に言語の解析回路が広がっているのも、人間にとって重要なツールであることを証明しています。ビジネスマンにあてはめた場合でも“聴けること”は仕事の出来を左右する重要な能力です」
中川氏は最後に、補聴器のマイナスイメージを恐れず、聴こえないことに対し関心を持って欲しいと話した。
「会議の場では、白熱するほど声のトーンやピッチが高く、早くなる傾向があります。しかし、難聴の人は、“高く”“早い”会話についていけません。盛り上がった場で取り残されることは、仲間から評価を下げるだけでなく、自身の意欲をそぐことにも考えられます。そうなった場合、うつ状態やノイローゼを引き起こしかねません。“健常な自分”でいるためにも、補聴器支援を活用して“仲間入り”することを大切にしてください」
■関連リンク
・中川雅文氏の書籍「耳の不調」が脳までダメにする - amazon.co.jp
・スイスの補聴器メーカー「バーナフォン」 - 公式WEBサイト(日本語)
