シーズン後半からセンターバックに定着し、マルセイユの二冠に貢献したステファン・エムビア(23)。ただし本人は、「ディフェンスは仕方なくやっている」と繰り返し、自分のポジションはあくまで守備的MFであると主張して譲らない。

 起用法に不満があれば、移籍を考えるのがこの世界の常。マルセイユをビッグクラブに移籍するためのステップと考えていることを公言してはばからないエムビアとしたら、いいオファーがあればすぐにでも飛びつく用意があると考えていいだろう。ましてやその相手が名門バイエルン・ミュンヘンとなれば、移籍1年目で最高のシーズンを過ごした直後とはいえ、心を動かされないわけがない。

 ドイツで二冠を制したバイエルン。加えて9年ぶりのチャンピオンズリーグ(CL)決勝進出を果たし、同じく二冠を達成した一昨年を上回る成功を収めたシーズンとなったが、レキップ紙によると、来季に向けた補強を積極的に行なう方針だ。課題はディフェンス。そこでエムビアに白羽の矢が立った。

 ただしエムビアにとってやや皮肉なのは、バイエルンもセンターバックとして評価していることだ。ちなみにエムビアの母国、カメルーン代表のポール・ルグエン監督も、W杯でエムビアを右サイドバックとして起用するオプションを考えている。本人もそろそろディフェンダーとしてやっていくことに意識を切り替えるべきなのかもしれない。いずれにせよ、W杯で注目の選手となるのは間違いない。