27日のチャンピオンズリーグ(CL)準決勝セカンドレグでバイエルン・ミュンヘンをホームに迎えたリヨン。ファーストレグにつづいて退場者を出し、ゴールを奪えぬまま0−3と完敗し、決勝進出は夢と消えた。

 リヨンのピュエル監督が「多くの面でバイエルンが優っていた」と語ったように、試合は個人技でも組織プレーでもバイエルンに圧倒的な格の違いを見せつけられる内容となったが、少なくとも互角の勝負に持ち込むことすらできなかった原因を探っていくと、3つの“もし”が浮かび上がる。

 ひとつは“もしトゥラランが出場していたら”。 ファーストレグの退場でリヨンの守りの要トゥラランが出場停止になったのは、あまりにも大きく響いた。その結果、リヨンは中盤の1対1の局面でことごとくボールを失い、激しいプレスを仕掛けるバイエルンに主導権を握られた。

 2つめは“もし前半に同点に追いついていたら”。リヨンにとってほとんど唯一のチャンスだったのは、先制点を許した直後の前半31分。ゴヴが右サイドからあげたセンタリングをミシェル・バストスがフリーで受けたが、シュートは枠を外れた。試合後に本人が「僕があれを決めていれば、試合の流れは変わっていたかも知れない」と悔やんだように、前半の決定的な場面だった。

 もうひとつは“もしクリスが退場にならなかったら”。後半に入った60分、主将のクリスが1対1の場面でボールへの反応に遅れてファウル。主審にイエローカードを出された。ここで、決勝に勝ち残ったとしても警告累積で出場停止になるのを知ったクリスは、悔しさのあまり主審に皮肉を込めた拍手をおくる。これを判定に対する抗議と受け止めた主審からは2枚目のイエローカード。リヨンは守備の柱を失って10人で戦わなければならなくなった。

 試合後にピュエル監督が「厳しい判定。クリスの退場で我々の可能性が絶たれた」と振り返ったように、リードされ、押されつづける展開で、数的不利まで背負い込んだ時点で、勝負はついた。主審を罵ったわけでもなく、たんなる“拍手”のジェスチャーで退場とはたしかに厳しい。しかし元レキップ紙記者のピエール・メネス紙は、W杯が近づくタイミングで、国際審判は毅然とした判定を意識する傾向があると指摘し、「32歳で経験もあれば、CL準決勝で主審に拍手するべきじゃないのはわかりそうなもの」とクリスの行為を「ばかげた失態」と一刀両断した。

 クラブ史上初のCLベスト4入りを果たしながら、準決勝ではまったく力を発揮できなかったリヨン。来シーズンまたこの夢に再挑戦するには、国内リーグの残り5試合に頭を切り替えなければならない。1試合消化が少ないながら、2位に7ポイント、3位に2ポイントの差をつけられて苦しい状況だ。4日後には4位のモンペリエ、その3日後には2位のオセールと、上位との直接対決が控える。