経済同友会が会員企業等445社の経営者から得た回答をまとめた「日本企業のCSR−進化の軌跡『自己評価レポート2010』」によると、前回レポート(2006年)に比べて、女性管理職が「増加傾向」と回答した企業が低下したことが分かった。女性管理職がいない企業が依然として23%に上る。

 女性管理職の比率の推移を聞いたところ、「増加傾向」と回答した企業の割合は前回レポート(2006年)から4ポイント低下して38%。「横ばい」37%、「減少傾向」2%、「女性管理職がいない」23%だった。従業員5000人以上の大企業でも「増加傾向」は6ポイント低下して61%となっている。

 法令を上回る育児支援をしている企業では「増加傾向」が47%であるのに対して、法令レベルの育児支援をしている企業では19%にとどまった。

 男性の育児休業取得率が「増加傾向」の企業が16%(2006年7%)に倍増し、男性の育児休業取得者がいない企業は39%(同52%)に減少した。

 経済同友会2009年度社会的責任経営委員会ワーキンググループメンバーの河口真理子大和総研経営戦略研究部長は、「従来日本企業の女性管理職比率が低いのは、機会均等法導入から日が浅くその資格のある女性社員が少なかった、という説明がされてきたので、均等法世代が対象となってきてからは増加傾向が長期にわたって続くはずである。その傾向が鈍化してきたことは、会社の方針に変更があるのか、能力・資格的にも条件を満たす女性社員がまだ充分育っていないのではないかと推測される。永年女性活用を進めてきたと考えている企業も最近女性活用の現状が果たして充分なのか再考してみる必要があるだろう」とコメントしている。

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