プライスウォーターハウスクーパース株式会社(東京都中央区、内田士郎社長)の国内上場企業および有力未上場企業約6500社を対象にした「2009年度M&A実態調査」によると、グローバルな再編が進展すると回答した企業が増えていることが分かった。

 同調査は、2003年から2年に1度実施しており、今回で4回目。2009年10月〜11月に実施し、285社(回収率4.4%)から回答を得た。2009年度の調査では、業界再編の動向に着目し、(1)国内における業界再編、(2)グローバルにおける業界再編(3)日本企業による海外投資の3つのテーマを中心としている。

 その結果、「2010年以降、自社が属する業界でのグローバルな再編が進展する」と回答した企業は70%を超え、「2008年から2009年までの期間にグローバルな再編が進展している」と回答した企業44%から大きく伸びた。また、「2010年以降、自社が属する業界で国内の再編が進展すると思う」と回答した企業は約60%であった。

 同社の安田昌彦パートナーは、「国内やクロスボーダーでの業界再編を予想しているにもかかわらず、それが自社の戦略に及ぼすインパクトについて、あまり深い部分まで考えが及んでいない日本企業は多い」と話す。

 また、左近靖二シニアマネージャーは、「今後、国内レベルの業界再編はもとより、グローバルレベルの業界再編の更なる進展が予想される。このような再編期においてM&Aを成功させるには、プレディールの段階から、シナジーやマーケット環境も見据えた将来像を明確に描くとともに、それを実現するための具体的なアクションプランを策定していくことが重要になるだろう」と指摘する。

 調査結果を踏まえ、同社では、国内市場の縮小とグローバル競争の激化に備え、(1)先手必勝の再編(2)株主や出資者への明瞭な説明と理解の獲得(3)業界の動向や経済情勢など社会全体を見据えた上でのシナリオメーキングが不可欠であると考えている。また、調査の結果と分析をレポート「M&A白書2010」にまとめ、同社のWebサイトで公開している。

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