厚生労働省の2009年度能力開発基本調査の調査結果によると、正社員の教育訓練に取り組んだ企業の割合が低下したことが分かった。労働者一人当たりの教育訓練費も減少した。

 2008年度1年間に正社員の教育訓練に取り組んだ事業所の割合を見ると、OFF−JT実施率は68.5%(2007年度77.0%)、計画的OJT実施率は57.2%(同59.6%)、自己啓発支援は66.5%(同79.6%)で、いずれも2007年度に比べて低下した。

 また、教育訓練に支出した費用の労働者一人当たり平均額(費用を支出している企業の平均額)は、OFF−JTは1.3万円(2008年度調査2.5万円)、自己啓発支援は0.4万円(同0.8万円)と減少した。

 正社員に対する教育方針をみると、「労働者全体の能力を高める教育訓練」を重視する又はそれに近いとする企業は49.5%(2008年度調査40.4%)、「選抜した労働者の能力を高める教育訓練」を重視する又はそれに近いとする企業は50.6%(同59.5%)だった。

 正社員に対する教育訓練の方法については、「OJT」を重視する又はそれに近いとする企業は70.8%(同74.4%)、「OFF−JT」を重視する又はそれに近いとする企業は29.2%(同25.6%)となっている。

 2008年度に自己啓発を行った正社員は42.1%(2007年度58.1%)。自己啓発における問題として、「仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない」(55.8%)を挙げる割合が最も高くなっている。

 希望している職業人生の実現に向けた職業能力開発の方法をみると、「自発的な能力向上のための取組みを行うことが必要」(47.2%)が最も高かった。

 同調査は2009年10月から12月に、企業調査(従業員30人以上)3204社、事業所調査(従業員30人以上)4463事業所、個人調査8075人から回答を得た。

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