「審判に対する“借り”は、2002年ワールドカップ(W杯)のときに、もう済ませていたと思ったんだがね。モレーノ主審を覚えているかい? 今、また私の体には傷ができてしまったよ」

アイルランド代表を率いるジョヴァンニ・トラパットーニ監督は激怒している。アイルランドは18日、W杯欧州予選プレーオフ・セカンドレグで、フランスと延長戦にもつれ込みながら、最後はFWティエリ・アンリのハンドに泣くこととなった。

トラパットーニ監督は“政治的”にアイルランドよりフランスが強いことは分かっていただろう。だが、あのアンリのハンドが見逃されることはあり得なかったはずだ。

「取り消されるべきゴールによって敗れ去るより、PK戦で姿を消す方が良かった。フェアプレーというのは、重要なシチュエーションにおいてこそ、見えてくるものなんだ。今日、サッカーは子供たちにひどい例を示してしまった」

「自分が被害者と感じるか? 全世界が目にしたはずだよ。2試合を通じて、我々はプレーオフ突破にふさわしかった。私はスウェーデンの人たちに敬意を払っているが、今日は一人のスウェーデン人が大きなミスを犯してしまった。なぜ、主審はアンリに聞かなかったんだ? 彼はきっと認めたはずだ」

さらに、FWロビー・キーンは「オレたちはムカついているよ。オレたちをW杯に出させたくなかったんだろう」と、より激しいトーンで怒りを示している。

また、マルコ・タルデッリ助監督も落胆の色を隠せていない。

「とても悲しい。偉大な選手というのは、それにふさわしい振る舞いをしなければいけない。アンリはケタ外れの選手で、主審のところに行って、2度も手でボールを触ったということを言う義務があった。とても大きなファウルによって生まれたゴールを、彼が取り消すべきだったんだ」

「サッカーにおいては、不当なことを打ち消すためのレシピというのは、それぞれが持っているものだ。だがまずは、偉大な選手たちの誠実さから始まらなければいけない。ミスター・アンリ、偉大なる選手アンリのひどい振る舞いは、決して忘れることがないだろうね」

一方、フランス代表のレイモン・ドメネク監督はどう考えているのだろう。同監督は「その抗議された場面を私は見ていない。サッカーとはこういうものだ。自分がラッキーになることもあれば、うまくいかないときもある。我々が(本大会出場への)お祝いを抑えたのは、まさしくアイルランドの人たちの落胆を分かっていたからなんだよ」と話している。