部下を潰して出世するクラッシャー上司は「人格の未成熟さ」を抱えた危険な存在
最終回となる今回は、少し視点を変えて、企業の必要悪的な存在とみなされてきた「パワハラ・クラッシャー上司」についてお話しします。
この「パワハラ・クラッシャー上司」は、確かに能力はあり仕事はデキます。しかし、部下を奴隷の如く扱い、失敗するとネチネチと責め続け、気分の上がり下がりが激しいという特徴をもっています。
部下は、どんどん心を病んで脱落していきますが、自身の実績は社内でもトップクラスであるため、会社としても処分するわけにはいかず、あれよあれよという間に出世していきます。
都内有名私立大学を優秀な成績で卒業後、商社に入社。父親は中央官庁の高級官僚で、幼少時より両親から極めて保護的に養育され、塾通いの日々で、ほとんど友人と交流することもなく「お前は他の友達とは違うんだ」と言われて育ち、高いプライドを有するようになった。
成績は優秀で、国立T大学を目指したが受験に失敗、父親はT大学から公務員試験を受験して、中央官庁へ入省することを強く望んでいたが、果たせなかった。このことから父親は、本人に対して「お前はダメな人間だ」と罵倒することもままあったという。
基礎的な能力は高く、入社後から実績を上げ順調に昇進し、同期の中では最も早く管理職に登用された。しかし、仕事は確かにできるが、部下が業務上の失敗をすると、自室に呼び出し、2時間近くも「ネチネチ」と部下の失敗を遠回しに非難する。決して明らかなパワハラにならないように、初めは優しい口調で対応するが、部下が弁解をすると論理を構築して弁解の余地のないところまで心理的に追い詰める。部下が疲れ果てて「自分が全て悪かった、申し訳ありません」と平謝りするまで、非難は延々と続く。
しかし、部下に営業上の失敗があったとしても、最後は自分が直接に乗り出して、クライアントにうまく対応して商談をまとめる。本人は、気分の上がり下がりが激しく、時に、部下を引き連れて自分の好きな飲食店に連れて行き、ワインの蘊蓄を傾け大盤振る舞いをしたり、その一方で、原因もなく、何を言っても取り付く島のないほど不機嫌であったりする。そのため部下たちも、本人に対しては面と向かって本音が言えず、「しかたがない。逆らわずにいこう」と諦めていた。
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