AndroidベースのOphone

世界最大の携帯電話加入者数を誇る中国移動は、OMS(Open Mobile System)を採用したフルタッチスマートフォン「Ophone」を発表した。OMSのベースOSはGoogle Android。新しいオープンなソフトウェアプラットフォームとして多くのパートナーが参加する予定だ。

Ophoneは中国移動が開発したプラットフォームとはいえ、端末はメーカーブランドとして複数社から登場する。端末の型番も日本のように事業者による専用番号ではなく、各メーカーが独自のモデル名をつけている。また端末にはSIMロックが施されていないため、他事業者のSIMカード、例えば同じ中国内でライバル会社 中国聯通のSIMカードを入れても利用できる。

事業者専用端末というよりも、「中国移動が開発したプラットフォームを採用したメーカー端末」という位置づけの製品といえそうだ。とはいえOphoneには中国移動の各種サービスが利用できるメニューが用意されており、中国移動向けに最適化されたスマートフォンになっている。

9月に中国で行われた通信関連展示会ではLenovo、DELL、Philips、LG、Dopod(HTC)が発売直前のOphoneの展示を行っていた。最も注目されていたのはDELLのMini 3iだ。同社初の携帯電話であり、細身でスタイリッシュな外観はこれまでの海外メーカー端末や中国メーカー端末と大きく雰囲気が異なっている。スペックこそ2G対応のみと、他社のOphoneより若干落ちるが、新規参入メーカーの最初の製品としてはまずまずの出来映えだろう。

またLGは高画面解像度(800x480ピクセル)やWi-Fi搭載、中国独自のモバイルTV規格「CMMB」に対応する「GW880」を展示。世界シェアトップグループメーカーの威信をかけてOphoneの中でもハイスペックの製品を早々と投入している。

DELLのMini 3i(左)とLGのGW880(右)

Ophoneを投入する中国移動の狙いは3つ。1つはメーカー主導型であった端末開発を事業者主体とすることで、自社サービスに最適化した端末を提供することだ。プラットフォームのオープン性を保つことで幅広いメーカーや開発者を集めることも可能になる。ベースがAndroid OSということで、同OS向けアプリも簡単な修正でOphone向けに変更できるとも言われている。

また中国移動はアプリやコンテンツを販売するアプリケーションストア「Mobile Market」を8月から開始したばかりだ。対応端末はOphoneやNokia、SamsungなどだがOphoneであればどのメーカーの端末でも同一のアプリが動作する。従来であれば同じメーカーの端末でもアプリによっては動作しないものがあるなど、携帯電話からのコンテンツ購入には二の足を踏むユーザーも多かった。Ophoneは中国移動のMobile Market利用を後押しすることで、データARPUの引きあげとコンテンツ収益の向上をけん引するものになるだろう。

そして3番目の狙いはTD-SCDMA方式の普及である。中国が独自に開発した3G方式のTD-SCDMAは、テストサービスから1年半、商用サービス開始から半年が経ったものの利用者数の増加数は微々たるものだ。8月末時点でのTD-SCDMA利用者数は100数万人で、これは中国移動総加入者数5億人のわずか0.2%程度である。

これはTD-SCDMAの技術レベルがまだ信頼のおけるレベルに達しておらず、端末の数も少ないことに原因があるが、中国ではまだまだ従来の2Gサービスでも十分と考える利用者が多いのも事実だ。中国移動としてはOphoneの投入でアプリストアの利用や動画のストリーミング配信など、3Gサービスへの移行を加入者に促したい考えでもあるわけだ。

中国の展示会で人気のOphoneの展示コーナー

さてOphoneは中国の端末メーカーにとっても期待が大きいプラットフォームだ。中国メーカーがローコストを武器に中国国内でシェアを拡大したのはもはや数年前のこと。今ではローエンドからハイエンドまで、海外大手メーカーに大きくシェアを奪われている。

Ophoneは中国メーカーと海外メーカーと同じスタートラインに立てることから、来年には20機種程度の「国産Ophone」が登場する予定だという。また販売は中国移動が行い主力端末の扱いを受けることから、特色ある端末を投入できれば大手メーカーと同じ土俵で戦うこともできるわけだ。

このOphoneは中国移動のプラットフォームであり販売は中国国内だけだ。だからと言って日本や他の諸外国に無関係なものと考えるのは早計である。たとえば新興市場などで将来、Ophoneを採用する動きが出てくるかもしれない。中国移動は今後積極的に海外投資を進めるという話もあり、いずれは世界各国でOphoneが見られる時代がやってくるかもしれないのだ。

中国Hisenseの「Ophone」。中国メーカーから続々と登場する予定だ

山根康宏
著者サイト「山根康宏WEBサイト」

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