W杯直前のシーズンを迎え、出場機会を求めて移籍を志願していたインテルのパトリック・ヴィエラ(33)。パリ・サンジェルマン(PSG)やリヨンといった母国フランスへの復帰、9シーズンを過ごした古巣アーセナルへの復帰などが取り沙汰されたが、結局は実現せず、インテルで契約最後の年を送ることを決めた。

 ヴィエラは22日付レキップ紙のインタビューで、アーセナル復帰について「具体的な話はまったくなかった」と報道の先走りだったことを明かす。同じロンドンを拠点とするトッテナムから誘いを受けたが、古巣サポーターへの思いからこの選択を退けた。

 また、フランス代表の盟友マケレレが所属するPSGからは熱心な働きかけがあったが、報酬の面で折り合いがつかず、リヨンのラコンブ顧問からは2度ほど電話で連絡を受けたものの、それきりになった。リヨンには金銭的な問題がないと考えられることから「リヨンは僕を雇うことに不安があったのだろう」と相次ぐ故障や年齢がネックになったというのが本人の推測だ。

 レギュラーの座が確実でないインテル残留は「たしかに、僕にとってもっともむずかしい選択だった。しかし同時にもっとも賢明な選択でもあった」という。「まったく心配なしに練習を再開できた。親善試合もうまく行った。考えていたよりずっとたくさんプレーできた」と充実したプレシーズンを過ごし、自信を回復したようすが見受けられる。

 「いまは、より多くの試合に出られるよう奮闘するだけだ」と決意を新たにするヴィエラ。フランス代表のドメネク監督からは主将として厚い信頼を得ているだけに、フランスが予選を突破し、インテルでシーズンを通して活躍できれば、W杯出場が見えてくる。4大会連続出場となるベテランの存在は、リーダー不在といわれるフランスにとって心強いのは間違いない。