2007-08年シーズンまでフランスリーグ7連覇を記録したリヨン。その間はフランス王者としてチャンピオンズリーグ(CL)のグループリーグへダイレクトに進出できる権利を得ていた。しかし昨季タイトルを失って3位に終わったため、今季はプレーオフからのスタートだ。

 プレーオフを戦うのは1999-2000年シーズン以来。このときはスロベニアのマリボルに3-0で敗れグループリーグ進出を逃している。リヨンがグループリーグの常連になるのは翌年からだ。

 そのプレーオフ第1戦が19日に行なわれ、リヨンはアンデルレヒト(ベルギー)を相手に5―1と大勝、10シーズン連続のグループリーグ出場に大きく一歩を踏み出した。

 リーグ・アン連覇が途絶えるとともに、ジュニーニョ、ベンゼマの両輪を失ったリヨンは今シーズン、不安を残したままスタートした。プレシーズンマッチは6戦で1勝2敗3引き分けと調子が上がらず、開幕戦は試合終了間際にようやくドローに持ち込む苦戦。第2戦も格下チームを相手に1―0と薄氷を踏む勝利だった。

 それが今回、CLの大舞台で“強いリヨン”がよみがえった。お膳立てしたのは、新加入のミッシェル・バストスとリサンドロ・ロペス。ともに1ゴール、1アシストを決めている。2人のラストパスが同じく新加入のバフェティンビ・ゴミスの2ゴールを呼んだ。また、ジュニーニョの背番号8を受け継いだミラレム・ピヤニッチも、そのお株を奪うような鮮やかなフリーキックを決めて先制点をマーク。この日スタメンで起用した攻撃陣4人がすべて得点したことになる。

 しかしリヨンのジェルラン・スタジアムをもっとも沸かせたのは何といってもリサンドロ。ずば抜けたテクニック、スピードに加え、みなぎる闘志を見せつけ、早くもリヨン・サポーターの心をガッチリつかんでいる。リーグ第2節のホームゲームにつづいて観客の熱いスタンディング・オベーションを受けた。

 リサンドロはこの試合後、レキップ紙のインタビューに答え、「夢のような一夜だった。サポーターに感謝したい。まだ来て間もないのにとてもよくしてくれる。自信を与えてくれたチームメイトや監督への恩義もある。この感じでつづけていきたい。まだまだ努力すべきところはたくさんある。とてもいいスタートを切れたことには満足だ」と語った。

 フランスのメディアの中には、10年前のソニー・アンデルソンの加入を彷彿させるとの指摘もある。アンデルソンは当時、バルセロナからリヨンに移籍してたちまちチームの主役となり、その後の“常勝軍団”の礎をつくった。リサンドロの存在が、ジュニーニョとベンゼマの抜けた不安をチームメイトとサポーターから完全にぬぐい去りつつあるといってよい。