28日の火曜日、シアトルの本拠地、セーフコ・フィールドで行われた対トロント・ブルージェイズ戦に出場した鈴木イチローが、3対3の同点で迎えた9回、2アウト満塁の場面でメジャー初となるサヨナラ打を打った(7月28日付シアトル・ポスト・インテリジェンサー)。

 ブルージェイズのリリーフ、スコット・ダウンズの投じた1球目はストライク。2球目のカーブを、沈着冷静、理論的なイチローにしては珍しく、バランスを崩して空振りした。

 マリナーズのクローザー、デイビッド・アーズマは「(ジェイソン)ヴァーガスに『あれはわざと空振りして、もう一度同じ球を投げさせるつもりだ』と話したら、イチローは専売特許のバットを放り出すようなスイングで、ほんとにカーブを打ってヒットにした」と解説した。

 空振りが作戦だったかどうかはイチローのみが知るところだが、ダウンズは罠にかかってカーブを投げ、打たれた。

 ブルージェイズのシト・ガストン監督は「あれはイチロー以外の選手には打てない球だ」と脱帽。

 9回、マリナーズはノーアウト満塁のチャンスを作りながら、代打のホセ・ロペスがサードゴロ、ロニー・セデーノが三振に倒れ、あとはイチローに頼るしかない、いや、打つのはイチローしかいないという観客の願いを背負っての打席だった。

 確かにイチローだからこそ打てた球だった。イチローはゴルフのスイングのようにバットを振り、ボールはショートの頭上を越えてセンター前に落ちた。

 マリナーズのドン・ワカマツ監督は「見たか、あの球を? 地面すれすれだったぞ。イチローには驚かされてばかりだ」と感心したように語った。