7日付のフランス・フットボール誌によると、リヨンがリールのブラジル人MF、ミシェル・バストス（25）にオファーを出した模様だ。ただしリヨン側はリールとのコンタクトは認めたものの、具体的なオファーの存在は否定している。

　リヨンのオラス会長付顧問であるラコンブ氏は9日、リールが移籍の条件として提示した額を明らかにし、「1800万ユーロ（約23億4000万円）は高すぎる」と語り、そこまで関心の高い案件でない素振りを見せている。

　ラコンブ顧問は「左サイドは補強の優先項目でない」という主張。たしかにリヨンには、左のMFにキム・シェルストレーム（26）がいる。ただしスウェーデン代表で見せる攻撃的なパサーとしての役割はリヨンでは十分に発揮しておらず、昨季などは左サイドバックとして起用される場面もあった。

　一方のバストスは昨季37試合に出場し14ゴール（4位タイ）、11アシスト（単独1位）と活躍、リーグ・アンのベストイレブンに選ばれ、MVPをヨアン・グルキュフ（ボルドー）と最後まで争った選手。フリーキックにもすぐれ、退団したジュニーニョの後釜としては十分だ。

　ベンゼマを3500万ユーロ（＋インセンティブ）で放出したリヨン。カカやクリスティアーノ・ロナウドの金額と比べるとだいぶ見劣りはするものの、それでもフランスのクラブが得る移籍金としては断トツの史上最高額だった。軍資金は豊富なはずだが、バストスを値切る行為に出ている。

　リールのセイドゥ会長はリヨンの反応に対し「合意に至るチャンスはまったくない」と返している。このへんのやりとりがクラブ首脳同士の駆け引きなのかどうかはまだ判然としないが、リヨンは同じ1800万ユーロで買ったカデル・ケイタを850万ユーロで売る失敗を犯している。さらに800万ユーロで売ったロイック・レミをこれを上回る額で買い戻す動きもある。その交渉先のニースには、将来有望とはいえまだリーグ・アンに18試合しか出場していないアントニー・ムニエを1600万ユーロで売ろうとしているなど、移籍交渉の進め方にチグハグなところがあるのは否めない。

　このあたりが、サポーターの不安をあおっている。ベンゼマ移籍決定の翌日には、クラブに抗議するサポーターが押し寄せちょっとした騒ぎになったほどだ。

　ちなみにここへ来て、ギリシャのオリンピアコスが前述のシェルストレームに関心をもっているとの情報もある。レキップ紙によるとオファーは600万ユーロ。この交渉がまとまると、バストスの案件が再浮上してくる可能性はある。