劇場で購入したクラウザーさん手ぬぐい。なんだか呪われそうなデザインですが、そこがイイ! でもどこで使ったらいいのやら(汗)。

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何かと話題の映画『デトロイト・メタル・シティ(以下DMC)』を公開初日に新宿で観てきました。当日はあいにくの雨でしたが劇場人気は非常に高く、16時ごろに当日券を買おうとしたとことろ次回の17時の回は売り切れで、19時以降の回しか買えないという状況でした。実写の邦画でこうした状況はほとんど体験したことがなかったので逆に楽しくなった私は、じっくり観るためにあえてオールナイト初回のチケットを購入。自由席だったので20分前には行列に並んで席をゲットしました。

夜遅いスタートにも関わらず、座席数400席の館内は8割方埋まるという盛況ぶり。客層はカップルや女性グループが多めで若干ミーハーな雰囲気でしたが、この作品はある意味アイドル映画なので違和感はありませんでした。

ちなみに劇場で売られていたDMCグッズも人気で、売り場の周りは上映時間ギリギリまでグッズを物色するファンで大盛況(既に売り切れていたグッズもあった模様)。私も思わずクラウザーさんの手ぬぐいを在庫切れ直前で入手してみたり。

さて肝心の映画の内容ですが、これは結構面白かったです。ただ高い前評判を聞いた状態で観たので、期待よりはちょっと物足りなくも感じました。感覚的には予算が多めのVシネマといった印象。もう少し細かい内容は以下に書きますが、ちょっとでも観る気がある場合は変に情報を仕入れないほうが楽しめると思いますので、なるべく早く観に行くことをオススメしておきます。

また一緒に押井守の最新作『スカイ・クロラ』と、これまた評判の高い『ダークナイト』も観てきましたので、両作品についても書いてみます。

■『デトロイト・メタル・シティ』
監督:李闘士男

●評価:65点(100点満点)

劇場で購入したクラウザーさん手ぬぐい。なんだか呪われそうなデザインですが、そこがイイ! でもどこで使ったらいいのやら(汗)。

私の場合は原作マンガを読んでいたので、映画で描かれるエピソードは既に知っているものばかり。映画用に書かれた脚本の流れも、ある程度先が予想できるものでした。観てる時も「次の展開はどうなるんだろう」というよりは「次はあれがきそうだけど、実写でどうするんだろう」という感じ。

それでも結構楽しめたのは出演陣の頑張りによるところが大きいと思います。思い通りに生きられない可哀想な根岸君&クラウザーさん役の松山ケンイチ、狂えるメタルな女社長役の松雪泰子、根岸君が想いを寄せるヒロイン・相川さん役の加藤ローサなど、まさに“ハマリ役”なキャスティングはお見事のひとこと。脇を固める俳優陣も含め、役者の熱演が実写映画版DMCを成立させていたといって間違いありません。

また本作の主役はあくまで根岸君であり、クラウザーさんは根岸君が演じる不本意な姿という図式が原作よりも強くなっていました。そのことによってより根岸君の持つ悲哀感が強調され、意外な青春映画テイストも生まれる結果となりました。

ギャグマンガでしか成立しない演出をどうするのかという部分にも注目していましたが、李監督は完全に開き直ってマンガそのままの演出を展開。根岸君がいつでもどこでもクラウザーさんに変身できてしまうところなどは現実的にはありえないのですが、DMCの世界観の中で開き直られると「クラウザーさんだからOK」と思えてくるから不思議です。

とりあえずDMCの実写映画化は概ね成功だったと思います。原作の寒い部分が寒いまま再現されていたり、メタルでファックな台詞が少なめだったり、オチがちょっと強引だったり、気になる部分もあるのですが第一弾として上出来かと。

個人的にはこれで終わらず、シリーズ化に期待したいところ。あまりダラダラ長くやるのもどうかと思うので、2年くらいの期間限定であと3作くらい一気に撮るというのがベストな気がします。そうすれば役者の演技にも益々磨きがかかり、根岸君はより気持ち悪く、社長はもっとクレイジー&セクシーになるはず。そんな素敵なDMCの未来のためにも多くの人に観ていただきたいと願う次第です。

■『スカイ・クロラ』
監督:押井守

●評価:40点

この映画のMVPは声優として出演した谷原章介で確定。谷原演じる土岐野のおかげでなんとか最後まで観れました。

残念ながらあまり面白くありませんでした。私は鑑賞中に2〜3回眠くなって意識が飛びそうになる始末。押井監督が「本気で恋愛ものを作る」「空中戦の出来は自信アリ」という旨の発言をしていたのでそれなりに期待していたのですが……。残念無念。

恋愛ものにしては人物の掘り下げが浅く、CGを駆使した空中戦も今どき珍しい映像でもなかったので特になんとも思いませんでした。しかも物語の根幹である「戦う理由」というのが物語の後半でようやく語られるという観客にとっては不親切な作りだったので、もう終始ワケワカランという感じ。

おそらく原作を読んで内容を把握している人にとっては意義のある映画化だったかも知れませんが、予備知識がほとんどない人間には厳しいものがありました。全編見終わってから「ああ、あのシーンはそういう意味だったのか」とわかる部分などは素直に凝ってるなあと思いましたが、もう少し初見でも楽しめる作りにしてほしかったです。

押井監督は舞台挨拶で「もしこれで成功しなかったら本当にやめますので」と冗談交じりで語ったとも聞いてますが、ちょっとシャレになってないかも。なんというか、もっと面白くできたはずなのにわざとスカして作ったという感じで悪い意味での自己満足が炸裂しているように思えてしまいました。

押井監督クラスになると「これは面白くないですよ」とか素直に指摘してくれるスタッフもいなくなり、結果このような観客不在の作品が生み出されてしまうのかも知れません。押井監督は『うる星やつら』時代から応援してる思い入れのある監督さんなので、なんとか普通に面白い作品を作っていただきたいと切に願う次第であります。押井監督はきっとまだ本気を出してないんですよ(と思いたい)。

■『ダークナイト』
監督:クリストファー・ノーラン

●評価:78点

これは一人で観にいくのがオススメ。誰かと一緒に観に行っても、鑑賞後に感想を言い合って盛り上がるのは難しい気がします。

各所で絶賛されている本作ですが、自分にとっては傑作というよりは問題作という感じでした。映画としては確かに面白いのですが、内容が暗く、さらに重いのでハッキリ言って誰にでも勧められる作品ではありません。この映画の見所は敵役のジョーカーの狂いっぷりにあるといってよく、それはヒーローものというジャンルの範疇を軽く超えてしまっています。バットマンというヒーローが主役のはずですが、子供には全く不向きの内容なので、家族で観るとかは絶対にナシであります。

人間の本質をえぐり出そうとする、本作の容赦のなさは観るものを圧倒します。登場人物もバンバン死ぬので、ノリはもう完全に「犯罪もの」。ジョーカーという最低最悪の凶悪犯にバットマンと警察が立ち向かうサスペンス・アクションに仕上がっています。

練り込まれた脚本、素晴らしい役者の演技、演出、美術、音楽といった映画を構成するあらゆる要素が高レベルで融合している『ダークナイト』。これは映画好きなら必ず観ておくべき作品であることは確かです。ただし鑑賞してもハッピーな気分はおそらく味わえないので、その点は覚悟すべきでしょう。映画の出来自体は80点以上を付けられるのですが、手放しでは褒められない感情がどうしても湧いてくるので78点としました。とりあえず凄い映画です。

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レッド中尉(れっど・ちゅうい)
プロフィール:東京都在住。アニメ・漫画・アイドル等のアキバ系ネタが大好物な特殊ライター。企画編集の仕事もしている。秋葉原・神保町・新宿・池袋あたりに出没してグッズを買い漁るのが趣味。

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