「大盛りご飯」値下げや「おかわり自由」復活広がる…コメ下落、弁当店や外食店「おなかいっぱい食べて」
一時高騰していたコメの市場価格が下落し、テイクアウトや外食店で、「大盛りご飯」の値下げや「おかわり自由」を復活する動きが広がっている。
食料品などの物価高騰が家計の重荷になる中、「主食」の値下げで顧客の確保につなげる狙いがある。一方、資材価格や人件費は上昇しており、ご飯の値下げがどこまで拡大するか注目される。(相間美菜子)
9月中旬の昼食時、弁当チェーン「ほっかほっか亭 茶屋町店」(大阪市北区)では、会社員が大盛りのご飯を相次いで購入していた。同チェーンは12日から、大盛りの追加料金を20円値下げして30円とした。「のり唐揚(からあげ)弁当」を買った大阪市北区の会社員男性(54)は「物価高を補えるほど給料は上がらず、主食の米が安く食べられるのはうれしい」と喜ぶ。
ほっかほっか亭では、従来、追加料金50円でご飯を大盛りにしていたが、コメの不足や価格高騰を招いた「令和の米騒動」以降は、70~90円に段階的に値上げを実施。政府による備蓄米の放出を機に2025年6月から値下げに転じた。運営会社によると、現在の米の仕入れ値は昨年の同時期に比べて3~4割安くなっているという。
中東情勢悪化の影響で、ナフサ(粗製ガソリン)の供給が不安定となり弁当容器など資材価格は高騰しているが、広報担当者は「弁当になくてはならない米を、新米シーズンにおなかいっぱい食べてもらいたい」とアピールする。
大手コンビニエンスストアでも相次いでおにぎりの値下げを発表している。ファミリーマートは22日から、焼(やき)しゃけや明太子マヨネーズなど人気商品4種類を11円値下げした。ローソンは29日から手巻(てまき)おにぎり全品を10円引き下げる。
外食チェーンでは、三重県を中心にとんかつ店を展開する「みそ家」(三重県四日市市)が、25年5月から休止していたご飯の「おかわり自由」を今年4月に復活した。
休止でコメの費用は削減できたものの、客足は徐々に減り、売上高が最大で15%程度減少した月もあったという。コメの仕入れ価格は3年前と比べるとまだ1・5倍ほどだが、谷渕有子マネジャーは「家計が圧迫される中、おかわり自由の復活で満足してもらいたい」と話す。
農林水産省によると、24年夏までは2000円前後で推移していた小売店の精米5キロ・グラムの平均価格(税込み)は、23年の猛暑などの影響で急騰し、25年5月に4238円まで上昇。同6月以降は備蓄米の放出で一時低下したものの、高止まりの状況が続いていた。
一方、25年はコメが豊作だったことなどから、玄米の民間在庫量は今年7月末時点で前年より約8割多い162万トンに増加。古米を消費できないまま新米シーズンに突入し「コメ余り」の状況にある。価格は8月時点で3160円まで下落した。今月14~20日に販売された平均価格は2934円で、2週連続で3000円を下回った。
ニッセイ基礎研究所の小前田大介・准主任研究員は、値下がりは当面続くと推測。その上で「人件費や物流費、コメ以外の原材料費が高止まりしているため、外食などの産業全体に値下げが広がる可能性は限定的だ。おにぎりなど米が商品原価に占める割合が大きい商品では、値下げや増量の動きが今後もみられる可能性がある」と指摘している。
