アウディRS5 サルーン(2) 公道で効能を体感できる「ダイナミックトルク」 EVのようにも走れる突然変異的進化
176psのバッテリーEVのようにも走れる
プラグインハイブリッドになったアウディRS5は、スタートボタンを押しても静か。望めば、176psのバッテリーEVのように走れる。試乗時は、約70kmを電気だけでまかなえた。0-100km/h加速は10.5秒と鋭く、シフトパドルで回生ブレーキも調整できる。
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駆動用モーターは、エンジンと8速ATの間。EVモードでも走行中は変速があり、その度にモーターの回転数も変化し、スーパーチャージャーのような響きで悪くない。反面、我慢しながらRS5を走らせているような感覚を伴う。

アウディRS5 サルーン(英国仕様)
通常のドライブモードでは、必要に応じて2.9L V6エンジンが始動するが、やはりRSモードを選ぶのが良い。もしくはシフトセレクターでSを選択すれば、控えめながら、M3にも似たザラついたサウンドで気持ちを鼓舞してくれる。
回転上昇は鋭く、高域ではドライな咆哮を放つ。積極的にアクセルペダルを操れば、オーバーランの破裂音が混ざる。もう少し、個性的な音色なら一層喜ばしい。
全開時は背中がシートへ押し付けられる639ps
システム総合の最高出力は639psと相当なものだが、車重は約2.4tと軽くない。動的能力は、BMW M5のように若干制限されるといえる。それでも、ハイブリッドが補完するアクセルレスポンスは圧巻。ギアを問わず、全開時は背中がシートへ押し付けられる。
0-100km/h加速は3.6秒で、約50km/hから110km/hへの中間加速は2.9秒で処理する。ブレーキは、カーボンセラミック製も選べるが、スチール製でも制動力は充分。ディスクの直径は、前が420mmで後ろは400mm。ペダルはソリッドで、扱いやすい。

アウディRS5 サルーン(英国仕様)
8速ATは低速域では滑らかに、高負荷時には素早くギアを切り替え、パドルの反応も素晴らしい。ただし、レブリミット間際のシフトアップでは、システムが追いつかずリミッターへ当たることはあった。
公道でも効能を体感できる「ダイナミックトルク」
新たに獲得した「ダイナミックトルク・コントロール」は、サーキットへ持ち込まずとも効能を体感できる。高めの速度できついカーブへ飛び込めば、アンダーステアもタイヤのスキール音もなく、フロントノーズは鋭く向きを変える。
まるで強力なダウンフォースが効いているように、サーキット用タイヤを履いたかのように、ブリヂストン・ポテンザ・スポーツはラインを捉え続ける。揚力を軽減する、スポイラーやディフューザーは追加されているとしても。

アウディRS5 サルーン(英国仕様)
カーブの出口でアクセルペダルを深く倒せば、電子制御システムと協働してアクティブデフがトルクを分配。軽いオーバーステアを引き出せ、条件が許すなら、興奮を誘うドライバーズカーとして操れる。高度な技術の介在を、実感もするが。
可変レシオのステアリングは、出色の出来。直進時は落ち着きに優れ、切り始めから正確で、深く傾ければクイックに反応する。フィードバックはやや薄いものの、それはライバルも同様だろう。
サーキットで開放すれば、流暢な旋回も四輪ドリフトも
ダンパーをコンフォート・モードにし、気張らず流せば、乗り心地も褒められる。スプリングは硬めで、ホイールは21インチと大径だから、多少の突き上げ感は伴うが、不快な入力はなだめられ充分しなやか。走行時のノイズは、ライバルより小さい。
実のところ、RS5は公道には速すぎる。サーキットで実力を開放すれば、四輪駆動らしい特性で楽しめる。荷重移動でフロントタイヤを路面へ食い込ませれば、アクセルペダルの加減で流暢に旋回することも、四輪ドリフトへ持ち込むことも許してくれる。

アウディRS5 サルーン(英国仕様)
複雑なシステムが動いていながら、それを意識させないほど挙動は把握しやすい。とはいえ、気張りすぎるとフロントタイヤは熱ダレ気味に。トルクリア・モードでテールスライドへ夢中になれば、タイヤはすぐに擦り切れるだろう。
価格は、英国では8万9400ポンド(約1860万円)から。プラグインハイブリッドながら、M3やアルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオより低く設定された。
突然変異的な進化で見事な才腕を実現
プラグインハイブリッドという、突然変異的な進化を遂げたRS5。スポーツタイヤに2.4t超えの車重でも、身のこなしはセミスリックタイヤを履いた1.6tのサルーンのよう。複雑なシステムは裏方へ徹し、安定性は秀抜で、公道でも不満なく楽しめる。
限界領域まで駆り立てれば、四輪駆動のバランスは精緻に可変。穏やかなドライブモードなら、平穏・快適にクルージングもできる。スポーツカーとしての純度は高くないかもしれないが、完成度は極めて高い。

アウディRS5 サルーン(英国仕様)
速さを追求しつつ、排気ガス規制へ対応させるため、車重は増えざるを得なかった。そのかわり、ハイブリッド化に伴い高度なシャシー技術の実装も可能になった。V6ツインターボエンジンを維持しつつ、燃費も向上させ、見事な才腕を実現できている。
アウディRS5 サルーン(英国仕様)のスペック
英国価格:8万9400ポンド(約1860万円)
全長:4896mm
全幅:1952mm
全高:1428mm
最高速度:280km/h
0-100km/h加速:3.4秒
燃費:8.2km/L
CO2排出量:93g/km
車両重量:2408kg(実測)
パワートレイン:V型6気筒2894cc ツインターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:22.0kWh(NMC)
最高出力:639ps(システム総合)
最大トルク:84.0kg-m(システム総合)
ギアボックス:8速オートマティック/四輪駆動

アウディRS5 サルーン(英国仕様)

