映画独自解説家守鍬刈雄が「主人の開けてはいけない扉の文化コード #すぐわ #映画 #守鍬刈雄」を公開した。動画では、ハリウッド映画などでよく見られる「開けてはいけない部屋」が、単なるサスペンスの演出にとどまらず、西洋における隠された暴力や知られたくない過去を表す文化コードであることを解説している。

守鍬氏はまず、夫が妻に「この部屋だけは開けてはいけない」と禁じる展開について、これは17世紀にシャルル・ペローがまとめたフランス民話「青ひげ」に由来すると説明する。新しい妻に鍵を渡しつつ一つの部屋だけ開けることを禁じた青ひげは、妻が扉を開けるとそこに歴代の妻たちの遺体を隠していた。この物語を機に、「隠された暴力や罪、夫が決して知られたくない過去」を表す文化コードとして受け継がれていったという。

動画内では、この構造がその後のゴシック文学や映画に多大な影響を与えたと指摘されている。代表例として、ヒッチコック監督の『レベッカ』やギレルモ・デル・トロ監督の『クリムゾン・ピーク』が挙げられ、巨大な屋敷と恐ろしい秘密を抱えた夫の姿が繰り返し描かれている。

さらに興味深いのは、『美女と野獣』もこの構造を受け継ぎつつ、見事に反転させている点だ。西の塔への立ち入りを禁じた野獣の部屋に隠されていたのは、暴力の証拠ではなく、孤独と悲しみ、そして呪いに苦しむ姿だった。守鍬氏は、野獣が隠していたのは「愛されることを恐れる1人の青年だった」と語り、観客の予想を裏切る見事な仕掛けを浮き彫りにした。

もし今後、映画の中で「この部屋には入るな」と告げる場面を見かけたなら、そこには「隠された過去と決して知られてはならない真実」を表す文化コードが潜んでいる。表面的なサスペンスの奥にある物語の系譜を知ることで、映画鑑賞がより一層深く楽しめるようになるはずだ。

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