【Mr.tsubaking】「一蘭」より店舗が多い「くるまやラーメン」の謎。ロードサイドで50年超の歴史

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「くるまやラーメン」という店をご存知だろうか。東京都を中心に約140店舗を展開するラーメンチェーンだ。

味噌ラーメンが主力メニューだが、醤油、塩、とんこつと幅広い商品展開で、老若男女に愛されている。

これほどの数の店舗がありながら、生活スタイルによっては「くるまやラーメンを見たことない」という人も少なくないだろう。

実は同店、その多くを駅前などではなく、比較的郊外のロードサイドを中心に展開している。群雄割拠のラーメン業界で、生き残りのために差別化は必須だが、「くるまやラーメン」は店舗立地を戦略としているのではないか。同店の担当者を取材した。

「そんなに店舗あった?」約140店舗なのに意外と知られていない理由

「くるまやラーメン」の店舗数は、公式サイトによるとおよそ140。現在は、東京を中心に、北は青森県・南は愛知県までの東日本のみに展開している。

140という数字は「一蘭」(93店舗)や「ぎょうざの満州」(104店舗)を上回るが、東京で長く生活した筆者にとっても、失礼ながら「そんなにたくさんあったっけ?」という印象だ。

というのも、都内においても足立区や葛飾区、八王子市や西東京市など、都心からはやや離れたエリアを中心に店舗がある。さらに、多くの店舗が駅前などではなく幹線道路に面した場所に建てられているのが現状だ。

こうした立地であるため、大型の駐車場があり店舗名の通り、車で来店する利用者が多い。そこにはどんな経緯があるのか、株式会社くるまやラーメンの営業情報担当・青山氏に聞いた。

観光バスから始まった「くるまやラーメン」ロードサイドに店を構えた意外な理由

昭和45年(1970年)に、観光バスを改装してラーメン店を始めました。その店が、新聞にも掲載されるほど人気になったんです。そのため観光バスでは手狭になって大型店舗を開くことになり、広い敷地が必要なため駅前でなく、郊外になったのが始まりです」(くるまやラーメン・青山氏、以下同じ)

そこから、同様のスタイルの店をFCとして増やしていく。きっかけは、多くのお客が入れることを目的とした店舗の大型化だったが、それが結果的にブランドのキャラクターになったという。

昭和40年代当時は、郊外の幹線道路沿いで営業するラーメンチェーンはかなり珍しかったようです。結果的に、車で来られるファミリーのお客様や、タクシーやトラックなどのドライバーさんなど、駅前のお店とは違った客層に受け入れられるようになりました

今でこそ、ロードサイド型のラーメン店を多く見かけるようになったが、「くるまやラーメン」はその先駆的な存在だった。

しかし、そんな同店もここまで順風満帆に来たわけではない。実は、1997年に一度倒産しているのだ。その背景には、近いモデルのラーメン店の増加もあったが、内部の事情も大きく関わっていたようだ。

出店を急ぎ過ぎたことで、人員不足に陥りました。内部の管理が行き届かなくなり、結果的に不採算の店舗が増えていったんです

同社は会社更生法を申請し倒産。そこで、不採算店舗を閉店し、外部の手を借りず、社員の力で会社を再生させる道を選ぶ。

当時の社員の努力の賜物なのですが、残った店舗でのスタッフの採用や人材育成にみんなで奔走しました。そうして、2003年には自力再建を果たすことができたのです

「ロードサイドは戦略ではない」

倒産という苦境を乗り越え、50年以上の歴史を紡いできた「くるまやラーメン」。ロードサイド店という個性が、時代の変化の中でメリットになった部分もあった。

特にコロナの時期ですね。出勤せずに在宅勤務の方が増えたことで駅前の飲食店は客数を大きく減らしていたようですが、住宅街にも近く電車に乗らなくていい当店は、その影響が比較的小さく済みました

一方で、こうした立地については「経営戦略」ではないと青山氏。

「くるまやラーメンは駐車場込みのファミリーレストラン型の店舗を目指しているので、50席前後の店で駐車場も必要となると、どうしてもロードサイド中心になります。ただ、これはブランディングではなく、現在のうちの規模のお店を駅前に出そうと思うと、資金面で難しいというところです

その立地は、最初から計算された戦略だったわけではなく、店を大きくするために広い土地を求めた結果だった。

そんな「くるまやラーメン」に、この記事の取材後、ひとつの変化が起きた。9月14日、東京の初台駅から徒歩圏内の場所で座席数は17、駐車場のない店がオープンしたのだ。

ロードサイドを中心に50年以上歩んできた「くるまやラーメン」は、いま新たな局面を迎えようとしている。

では、同店が長く支持されてきた理由は何なのか。立地だけでは、その理由をすべて説明することはできない。

後編記事『「くるまやラーメン」はなぜ、50年以上も老若男女に愛されるのか。「淡麗系」とは一線を画す「パンチ」へのこだわり』では、50年以上にわたって受け継がれてきた「味のこだわり」に迫る。

【つづきを読む】「くるまやラーメン」はなぜ、50年以上も老若男女に愛されるのか。「淡麗系」とは一線を画す「パンチ」へのこだわり