冬季五輪、WBC、サッカーW杯のあとで格落ち感は否めず…それでも「アジア大会」が連日ゴールデン生放送される理由

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19日夜、第20回アジア競技大会(アジア大会 愛知・名古屋)が開幕する。約45の国と地域が参加する4年に一度の祭典であり、五輪を超える43競技469種目を実施。

放送局のTBSは「約48億人を抱えるアジアの頂点を決める大会」「日本開催は1994年の広島大会以来32年ぶり」と掲げているが、今年は冬季五輪、WBC、サッカーW杯と大きな大会が続いたため、「格落ち感」を指摘する声も少なくない。また、『VIVANT』や『水曜日のダウンタウン』を休んでまで連日生中継することにも、不満が出ている。

もともとアジア大会は、若手の強化や発掘・育成を目指す「アスリートのための大会」という色合いが強く、“世界一決定戦”を好む傾向のある日本人は、あまり注目してこなかった。

TBSが掲げる「110時間超生放送」の大半はサッカー、バレーボール、バスケットボール、卓球、陸上、水泳、体操が占めているが、その編成に込めた狙いとは何か? アジア大会の価値や業界内外でのリアルな位置付けなどを掘り下げていく。

前編記事『32年ぶり日本開催でも盛り上がらず…「『VIVANT』2週休み」の戦犯扱いを受ける「アジア大会」の真の価値』より続く。

人気選手では誰が出場するのか

これらはいずれも人気競技だが、TBSがトップのキャッチコピーにあげた「史上最強JAPAN集結」とは限らない。

人気団体競技のサッカー、バレーボール、バスケットボール、野球は「フル代表」とは言い難いメンバー構成。知名度の高い選手がそろうチームは、和田由紀子、佐藤淑乃、関菜々巳、山田二千華らのいる女子バレーボールくらいであり、「ゴールデンタイムの中継らしくライト層の関心を集められるか」と言えば疑問が残る。

その意味で中継の中心は、主要メンバーのそろう女子バレーボールと「VS中国」で盛り上がる卓球男女、TBSの十八番である陸上競技あたりになるだろう。

ちなみに本来、最も人気を集めるはずのサッカー男子は23歳以下+オーバーエイジ枠3枠という年代別代表(日本は21歳以下のロス五輪世代で出場)の大会であり、欧州組の参加も少ない。見どころは「来年3月に日本代表監督就任する大岩剛監督の采配」「優勝すれば兵役免除される本気の韓国との決勝戦が実現するか」の2点に留まっている。

多くの人々が知る人気選手と言えば、陸上競技・女子やり投げの北口榛花、水泳女子の池江璃花子、卓球男子の張本智和、同女子の張本美和、早田ひな、体操男子の岡慎之助、橋本大輝、レスリング女子の藤波朱理、鏡優翔、バドミントン女子シングルの山口茜、同混合ダブルスの渡辺勇大、ソフトボールの上野由岐子、フェンシング女子サーブルの江村美咲、スポーツクライミング男子の安楽宙斗、同女子の野中生萌、飛込男子の玉井陸斗あたりか。

また、ネットをにぎわせそうなのは、「美人アスリート」としてメジャーな陸上競技女子の山本有真、中島ひとみ、福部真子。アイドル的なルックスで知られるバドミントン女子の宮崎友花と田口真彩。野球では10月22日のドラフト会議を控えた藤澤涼介(東京ガス)、柴崎聖人(王子)らが活躍すればネット上が沸くのではないか。

「見たことのない競技」にも注目

現実的には2028年のロサンゼルス五輪を目指すアスリートたちの「現在地点を知る」「飛躍のきっかけを目の当たりにする」というニュアンスが濃い大会と言っていいだろう。

一方、TBSだけでなく他局や動画配信サービスも含めメディア側にとっては「どの競技の人気がどの程度あり、どんなスター候補がいるのかを確認する」というマーケティングの機会でもある。たとえば地上波のゴールデンタイムやネットのリアルタイム配信でどれくらいの結果と反響があるのか。特に「若手の見本市」というニュアンスがあり、時差のない地元開催のため、見極めやすく発掘されやすいと見られている。

もう1つ、アジア大会ならではの見どころをあげるとすれば、あまり見たことのない競技や種目にふれられることだろう。

柔術、武術太極拳、クラッシュ、クリケット、カバディ、スカッシュ、パデル、テックボール、ローイング、Eスポーツあたりは見たことがない人も多いのではないか。

しかし、これらの競技は人気の面で放送が難しいだけに、TVerやU-NEXTでの配信でカバーしたいところ。U-NEXTは「最大7競技を同時LIVE配信」を掲げ、「サッカー、バレーボール、卓球、陸上競技、バスケットボール、野球、競泳、ゴルフなどを中心に20競技以上をカバーする」としているが、アジア大会ならではのこれらも配信したほうが評価は上がるのではないか。

まだチケットが販売中のものも多いだけに「配信を期待するのではなく直接見に行く」という選択肢もある。ただ、これは裏を返せば「チケットが売れ残っている」ということでもあり、愛知・名古屋の盛り上がりは今一歩ということかもしれない。

開催地・名古屋は盛り上がるのか

今年2度、名古屋に行く機会があり、アジア大会の盛り上がりを確認したが、市民に開催を待つようなムードは薄く、地元の知人たちに話を聞いても「野球ならドラゴンズ、サッカーならグランパスのほうが見たい」という声が返ってきた。メジャースポーツにおける日本代表の試合としては物足りなさを感じているのだろう。実際、16日のサッカー男子日本代表初戦はスタンドが空席だらけだった。

筆者も長年住んでいたが、もともと名古屋の人々はメジャー指向が強く、スポーツもアーティストライブもカルチャーイベントもテーマパークも、東京や大阪へ行くフットワークが軽い。これはビッグイベントで「名古屋飛ばし」されやすいことが前提にあり、だからこそ地元で行われる日本代表戦への渇望もあるはずだが、アジア大会は「それじゃない」と感じているのかもしれない。

視聴率獲得に多少の不安があるTBSはスペシャルアンバサダーに二宮和也を起用。二宮と言えば3月のWBCで「スペシャルサポーター」という事実上のMCを務めたことが記憶に新しいが、アジア大会での狙いは『VIVANT』とのコラボだろう。

事実、TBSは二宮の起用だけでなく『VIVANT』とコラボしたPR番組や、ドラム役の富栄ドラムが朝の情報番組『THE TIME,』内で選手取材を行うコーナーも放送した。これらは『VIVANT』の幅広い視聴者層あってのコラボだが、結果につながるかと言えばあやしいところがある。

はたしてアジア大会はどれだけの盛り上がりを生むことができるのか。やはりネット上でバズるようなインパクトのあるニューヒーロー、ニューヒロインの誕生が必要ではないか。

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