【記者解説】変化する中学校の“部活動の在り方” 全体で支える「地域展開」へ 石川の現状は
中学校の部活動の在り方が大きな変化を迎えています。その変化とは、部活動を地域全体で支える地域展開の取り組みです。部活動は今、どう変わろうとしているのか、石川県内の現状を取材しました。
8月下旬。
「開いて、開いて、開け。いいよ、いいよ、いいよ」
石川県かほく市内の中学校の体育館に響く、熱のこもったコーチの声。これは部活動ではなく、週に4日行われる「地域クラブ」の活動です。
学校ごとの部活動では入部する生徒が少なく、ポジションが埋まらないほどでしたが…
■参加する中学生:
「できる練習も変わりますし、練習の幅が広がる」
「専門的な技術も教えてもらえるし、個人のお仕事もある中、教えて貰えることがありがたい」
かほく市では去年、バスケットボール部がなくなり、3つの中学校の生徒が参加できる地域クラブへと完全に移行。
メンバーが増えたことで対戦形式などの練習が可能となり、大会にも出場できるようになったといいます。
現在は、競技経験のある地域の人たちが仕事を終えた後、子どもたちを指導しています。
■指導者・桶谷 純平 さん:
「(競技を)やりたい子が集まって、なんとか人数も集まってですね。それが一番の良いとこじゃないですかね」
いま、全国的に進んでいる部活動の地域展開。そこにはさまざま実情があるようです。
■テレビ金沢・髙槌 七海 キャスター:
ここからは担当の中條さんとお伝えします。部活動の地域展開、県内でも進んでいるようですね。
■テレビ金沢・中條 栞 記者:
そもそも、この地域展開ですが、生徒がスポーツ・文化芸術活動に継続して親しむ機会を確保することを目的としています。
髙槌:
進める背景には何があるんですか?
中條:
まず、その背景にあるのは少子化です。こちら全国の中学生の毎年の数を示したグラフなんですが、この30年間で急激に減少し、この先の20年間でもさらに90万人減る予測となっています。
髙槌:
少子化に加えて部活動に入部しなかったり、クラブチームに所属したりと選択肢も増えていますから、部活動にも影響がありそうですよね。
中條:
そうですね。そしてもう一つ、理由に挙げられるのが教員の多忙化の改善です。
髙槌:
部活の顧問は休日は大会などの引率もありますし、大変ですよね。
中條:
そこで部活動を地域展開することで、子どもたちの活動を地域で支え、教員の負担を減らそうというわけなんです。
中條:
具体的な仕組みとしては、市区町村が他の機関と連携して地域のクラブ活動に指導者を派遣するケースや、地域のスポーツクラブや民間の事業者が直接指導するケースもあります。
髙槌:
先ほど挙げた少子化などもあって、複数の中学校が合同で参加するというのも、これまでの部活動とは異なりますね。
中條:
国は2031年度までに原則、休日については全ての部活動で地域展開の実現を目指すとしています。
髙槌:
スムーズに進みそうなんですか?
中條:
現状、石川県内ではすでに、運動部でこちら5市町、文化部では6市町で休日の全ての部活動の地域クラブ化が完了しています。その一方で、学校や子どもの数が最も多い金沢市では、2年前から一部の中学校でモデル事業を始めています。ただ、そこには、さまざまな課題もあるようです。
ことし7月、金沢市内で教員たちを対象とした部活動の地域展開についての研修会。出席者に金沢の現状を聞いてみると…
■ソフトテニス部顧問:
「どこで活動するのかということと、指導者の確保が難しい」
■ソフトボール部顧問:
「(競技に)携わってきた方を巻き込んで、地域展開ができるかって所は課題かなと」
■剣道部顧問:
「いろいろ武道館の先生とか、剣道を長くやられている先生方と協力しながらやろうかなって今は思ってます」
■サッカー部顧問:
「(合同練習の)地域の分かれ方というか、そういうのが、ちょっとまた難しいところかなと思っています」
金沢市で運動部や文化部に所属する中学生は、県内で最も多い約8800人。
学校と指導者の橋渡し役を担う市の専門コーディネーターは、この人数を受け入れるだけの指導者や練習場所の確保、そして、それに合わせた複数の中学校による合同練習の区割りをどうしていくかが喫緊の課題だと話します。
■部活動地域展開コーディネーター・布村 一雄 さん:
「やはり生徒数が非常に多いということ、学校数も非常に多いということが一番大きな課題かなと思っております。保護者が送れないからその子が活動ができないとか、そういうことがないように、全ての子供が参加できるという条件を作っていくことが大きなポイントだと思っています」
全ての子どもたちにスポーツや文化活動を。
■ソフトボール部の生徒:
「普段できないことが人数が増えたことによってできて、すごく楽しかった」
金沢市では今後、モデル事業を検証した上で、来年2月ごろ、地域展開の方向性や指導者の確保策をまとめた基本方針を公表するとしています。
髙槌:
特に金沢では、限られた受け皿の中で多くの生徒に対応するための工夫が必要となりそうですね。
中條:
加えて、平日は部活動、休日は地域のクラブ活動で指導者が異なるため、情報共有も重要です。すでに地域展開が完了した加賀市や能登町では、指導者同士が顔を合わせて話し合う機会を作っています。地域のスポーツや文化資源を最大限活用し、どれだけ子どもたちの成長につながる環境を整えられるか、これが部活動の地域展開を進めるうえでの大きなカギとなりそうです。

