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単発・短時間で働ける気軽さから、急速に広がった「スキマバイト(スポットワーク)」。一方で、仕事を直前にキャンセルされても賃金が支払われない、アプリ上の評価によって仕事に入れなくなるなど、働く人のトラブルも相次いでいる。

こうしたスキマバイトの労働者保護が不十分だとして、東京公務公共一般労働組合と総合サポートユニオンが、国際労働機関(ILO)に対し、ILO憲章24条に基づく申立てをおこなった。

両労組が9月4日、東京・霞が関の厚生労働記者会で開いた会見で明らかにした。申立ては9月2日付。

申立て側は、直前キャンセルや早上がりの際の賃金・休業手当、安全衛生教育、社会保険、団体交渉、さらにアプリによる評価や就労制限など、スキマバイト特有の問題に従来の労働法制では十分に対応できていないと主張している。

●「実態は派遣なのに、職業紹介というお墨付きを与えた」

ILO憲章24条に基づく申立ては、労働組合などが「加盟国が批准した条約を守っていない」とILOに申し立て、検討を求める手続きだ。

今回、申立て側が中心的な問題としているのが、職業紹介や労働者派遣など民間の仲介事業を規律するILO第181号条約だ。日本政府のスキマバイトをめぐる制度や運用が、この条約に反しているとうったえている。

厚生労働省は、スキマバイトのアプリ事業者を「職業紹介事業者」と位置づけ、雇用主は求人を出した企業だとの立場をとっている。

これに対して申立て側は、アプリ事業者がアルゴリズムを通じて働き手を評価したり、就労を制限したりしている実態を踏まえれば、労働者派遣と変わらないとみている。

申立てを支援した非正規労働者の権利実現全国会議の村田浩治弁護士は「使用者責任を完全に負わない形で有料職業紹介というお墨付きを与えてしまったことが誤りだ。アプリを使って労務管理をしているのは明らかな実態だ」と述べた。

申立て側は、政府に対し、スキマバイトの実態調査と、権利保護の空白に対応した制度の整備を求めている。

●集団訴訟の代理人「司法では現実的な解決にならない」

この日の会見には、スキマバイトアプリタイミー」で仕事を直前にキャンセルされたことをめぐる集団訴訟の原告代理人、牧野裕貴弁護士も情報提供の立場で出席した。

牧野弁護士は「司法的な解決にも意義がありつつ、構造的な限界もあると感じる」と指摘。「請求の1件1件が細切れになってしまう一方で、実際に司法的に請求をするとなると、時間的な問題、お金的な問題で、非常にコストがかかる」として、行政による解決の必要性を訴えた。

現時点では申立書などを提出した段階で、ILOが正式に受理するかどうかはまだ判断されていない。

●直前キャンセルめぐり、国内でも法的紛争

スキマバイトをめぐっては、国内でも法的な争いが起きている。

タイミーで成立した仕事を直前にキャンセルされ、賃金が支払われなかったとして、1都4県のワーカー9人が今年4月、運営会社のタイミーに未払い賃金相当額と慰謝料を求めて東京地裁に提訴した。

原告側によると、問題としているキャンセルは約200件で、未払い賃金は約141万円にのぼる。プラットフォーマーの法的責任を正面から問う集団訴訟は「全国初」とされる。7月の第1回口頭弁論で、タイミー側は請求棄却を求め、全面的に争う姿勢を示した。

また、直前キャンセルによって休業手当が支払われなかった保育士からの申告を受け、労働基準監督署が勤務先に是正指導したケースもある。