「妻に知られたらお終いだ」…夢の独立を果たした36歳元会社員、年金機構から届いた“ピンクの封筒”に震撼→慌てて銀行に駆け込んだワケ
念願の独立を果たした元会社員の男性。「そのうち払えばいい」と日本年金機構からの通知を放置し続けた結果、ある日、自宅に届いたのは「ピンクの封筒」でした。可愛らしい色とは裏腹に、そこに記されていたのは、放置を続ければ財産の差し押さえにもつながりかねない、国民年金保険料の「最終警告」でした。
「そのうち払うから…」独立後、年金の書類を放置
36歳の郡司さん(仮名)は、長年勤めた会社を退職。会社員時代から企業のWebサイト制作や広告用のバナー、SNS用の動画などを手がけていた郡司さん。「もっと自分の裁量で仕事がしたい」という思いが強く、念願だった独立を果たしました。
まだ5歳の子どもがいましたが、妻の絵梨さんは看護師で多忙。「ずっと家にいてくれるのは、むしろ歓迎」と後押しをしてくれたのです。
退職して初めて実感したのが、会社員時代には意識していなかった「お金の手続き」の多さです。会社員であれば、給与から税金や社会保険料が天引きされ、年末調整などの手続きも会社がやってくれていました。ところが独立すると、何から何まで自分で対応しなければなりません。
「起業すると、やることがいっぱいだな……」
郡司さんのもとには、郵便物が次々と届くようになりました。そのなかには、日本年金機構からの封筒も。会社を退職して厚生年金から国民年金へ切り替わった郡司さんには、国民年金保険料を自分で納める必要が生じていたのです。
しかし、独立直後は事業を軌道に乗せることに必死です。売上もまだ安定せず、目の前の支払いを優先。国民年金保険料(月約18,000円)の納付は後回しになっていきました。
「今すぐじゃなくてもいいだろう。何かと物入りの時期だし、ちょっと置いておこう」
しかし、その判断によって“まさかの通知”が届くことになります。
郵便受けに届いた「ピンクの封筒」…思わず震えたワケ
ところが、なかなか仕事は安定しません。そして、青、黄色と色を変えて届く封筒にも「また年金か……」と、 郡司さんは中身を確認することなく、ほかの郵便物と一緒に置いたままでした。
妻が郵便物を受け取ることもありましたが、 「夫宛てに届く年金の書類なのだから、夫が処理するもの」 --夫婦の間では、そんな認識になっていたのです。しかし、ある日。郵便受けから取り出した封筒を見て、郡司さんの手が止まりました。
「……ピンク?」
直感的に封筒を開封すると、そこには「特別催告状」と書かれていました。内容を読み進めるにつれ、郡司さんの顔から血の気が引いていきます。 そこには、保険料を納付しない場合には、最終的に財産の差し押さえに至る可能性があることなどが記されていました。
「えっ……差し押さえ?」
そのうち払えばいいと考えていた郡司さんにとって、驚愕の文字でした。さらに郡司さんを慌てさせたのが、国民年金は、本人に支払い能力がないと見なされた場合、配偶者にもその義務が及ぶというルール。自分の不始末で、妻の口座や財産まで差し押さえの対象になる可能性があると知ったのです。
「これ、妻に知られたら……まずいぞ」
独立してから仕事が安定していなかったことを、妻にはできるだけ悟られないようにしていた郡司さん。「年金まで払っていなかった」「差し押さえの可能性がある」と知られたら、何を言われるかわかりません。
とにかくお金をおろして支払わなければと、郡司さんは銀行に大急ぎで向かったのです。
年間約2.7万件の差押え実施…家族を巻き込まないために
国民年金は、日本国内に住む20歳以上60歳未満の人が原則として加入する公的年金制度です。会社員から独立して個人事業主などになった場合には、厚生年金から国民年金への切り替えが必要になります。
そのうえで、決められた期限内に納めることが基本です。通知を無視し続ければ、督促はさらに厳しくなっていきます。 「自分の年金だから、自分だけの問題」 そう考えていると、思わぬところで家族を巻き込むことになりかねません。 特に、国民年金保険料については、世帯主や配偶者にも連帯納付義務があります。
厚生労働省『令和7年度の国民年金の加入・保険料納付状況を公表します』によると、令和7年度に最終催告状が送られたのは16万3,419件、最終的に財産の差し押さえに至ったのは2万6,859件と、決して“脅し”ではありません。
封筒は多くの場合、青色→黄色→ピンク(赤)……と、段階的に色を変えて支払いの警告をしてきます。 ピンク色の封筒を見てから慌てるのではなく、まずは届いた時点で中身を確認する。そして、支払いが難しいのであれば、早めに相談することです。
もし収入の減少などによって保険料を納めることが難しい場合には、一定の要件のもとで保険料の免除や納付猶予を利用できる場合があります。いずれにしても、「放置しても大丈夫」なものではない、ということを念頭に、しかるべき対応をとることが大切です。

