「クローゼットに置いていた現金1000万円を盗まれた」40代男性の告白。“家族と数人だけ”しか知らなかった情報が漏れた理由
都内の閑静な住宅街に立つ一軒家。インターホンが鳴り、玄関のドアを開けたA氏(40代)を待っていたのは、作業着姿の二人組だった。
「いきなりバールのようなもので頭を殴られたんです。揉み合いになり、一人と格闘している間にもう一人が2階に上がっていき、クローゼットに置いていた現金を持ち去られました。5分もかかっていないと思います」
「家にタンス貯金があるのを知っているのは、家族と数人だけ。犯人は迷いなく現金の隠し場所に辿り着いており、あらかじめ知っていたとしか思えない動きです。現金を取られたこともショックですが、ほとんど人に話していない情報が抜けていることが怖い。家族や仲間を疑ってしまう自分も嫌で仕方がない」
これは、いま世間を恐怖に陥れている”案件屋”の被害者による、痛切な告白だ。
案件屋とは、カネの在り処を知る人間が、その情報を”案件”として強盗の実行グループに卸し、上がりの分け前を受け取る商売のこと。広域強盗を繰り返してきたトクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)が生んだ、新しい闇ビジネスとされる。
「今年7月、警視庁は東京都立川市のアパートから現金約930万円が盗まれた事件で、案件屋とみられる男を全国で初めて摘発しました。男はターゲット宅の外観写真や手書きの間取り図、さらには『ベッドの下の引き出し』と現金の在り処まで指示役に提供し、上がりの約4割を受け取っていた。以降も、都内では指示役や案件屋とみられる人物の逮捕が相次いでいます」(全国紙社会部記者)
◆AIの発達で加速する「被害者予備軍リスト」の作成
そもそも、案件屋とは何者なのか。フリーライターの奥窪優木氏は、この呼称自体が世間の後追いだと話す。
「案件屋とは警察が付けた名称で、自分で名乗っている人間はいないでしょうね。闇金や訪問販売、特殊詐欺などをする過程で得た情報を保有し、他の犯罪グループに流す役割を担っており、古くは情報屋、名簿屋、仲介屋と呼ばれてきたものです。ただ、昨今の案件屋はなりふり構わず、悪質です。今年5月に東京都小金井市の家が複数回強盗に入られるという異常事態が起きたのですが、これは1人の案件屋が複数の強盗グループに競わせるように被害者宅を襲わせたとみられています。彼らは成功報酬からの歩合なので、手口が極めて荒っぽくなっているのは見過ごせません」
