タワマン最上階が2億円超…地価上昇率県内トップで神奈川県・橋本が「リニアバブル」に沸いている!
″将来性プレミアム″という付加価値
高い塀に囲まれた13.7haもの広大な敷地に高く積み上げられた土嚢がいくつもの丘を形成している。そしてその奥には、タワマンが林立していて――。
品川や新宿などの都心と見まがう光景が広がっているのは、相模原市緑区橋本。神奈川県の北部に位置する人口約7万人の街がいま、空前のバブルに沸いている。好景気を牽引しているのがJRと京王線が乗り入れる橋本駅南口の目の前に広がる、リニア中央新幹線の駅「神奈川県駅(仮称)」だ。
駅は地下3階構造で、深さは約30mに達する。開業すれば、品川駅まで10分、名古屋駅までは60分以内の距離となる。
「7月7日に静岡県の鈴木康友知事(68)がリニアの静岡工区の着工を認める方針を県議会で表明し、7月18日には、JR東海と着工許可にあたる『自然環境保全協定』を締結。これで品川-名古屋間の全区間で工事が進むことになりました」(全国紙社会部記者)
リニア神奈川県駅の工事は’13年の建設計画発表以来、リニア工区の着工を待たずに粛々と行われており、それと並行して橋本駅周辺も大きく姿を変えた。駅北側には高層マンションが立ち並び、冒頭で紹介した駅南側に広がる神奈川県駅を中心とした13.7haの一帯は「橋本駅南口地区土地区画整理事業」の名称で、再開発計画が進行。オフィスやインキュベーション施設、商業施設、福祉・医療機関などの集積が計画されている。
地価も大きく変動した。住宅ジャーナリストの福岡由美氏が言う。
「橋本駅周辺の地価は神奈川県駅の設置発表以降、上昇しています。最も地価の上昇率が高いのが南口の商業地です。’25年の基準地価の変動率は+10.5%(神奈川県平均+4.39%)で、上昇率としては神奈川県ではトップクラス。
坪単価は最高で310万円以上と、単なる新駅の開業ではなく、″神奈川県駅の将来性プレミアム″という点に不動産業界の期待が集まっている印象を受けます。駅が完成すれば、神奈川県内の経済機能の一部が横浜からこの橋本へ移行する流れができる可能性も考えられます」
すでにタワマンが続々と建てられており、神奈川県駅西側に今年6月に竣工した高層マンション(29階建て・総戸数458戸・1枚目の写真の左奥のマンション)は最上階100㎡超の部屋がなんと2億3398万円(坪単価約724万円)という高値で売り出されている。
「’22年に神奈川県駅の西側で着工した大型マンション『レ・ジェイドシティ橋本Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』が橋本エリアの地価を押し上げるきっかけとなりました。’25年1月に3棟目が完成し、総戸数236戸がほぼ完売しています。2億円超えのタワマンも出てきましたが、相場的に決して高すぎるとは思いません」(地元の不動産業者)
橋本駅北側では、タワマンのすぐ隣に昔ながらの路地と一戸建ての住宅街が広がっている。
「駅前の商業地のみならず、住宅地の地価も上昇しています。最も地価が高いエリアのひとつが、橋本駅北側で、市立旭小学校の周辺に広がる橋本6丁目付近の坪単価は約126万円(’26年)。変動率は+5.8%で相模原市内でもトップクラスにランクしています。閑静な住宅街で、広い土地に大きな庭園つきの日本家屋といった趣の一戸建てが少なくありません」(前出・福岡氏)
「希望の光がやってくる」
長年、この地域に住んでいる市民たちは橋本の変化をどう思っているのか。
「リニア神奈川県駅の工事が始まって5年以上経っていますが、その間ずっと街のどこかで工事をしている状態です。騒音にも慣れっこ。わたしたちが生きている間に本当にできるの? そんな感覚です。ただ、この数年で高層マンションがたくさん建ちました。子供たちや若い人がすごく増えて、街に活気があって決して悪い雰囲気ではありません」
古くからの市民は変化を受け入れている印象だ。長年、地元の不動産事業に携わってきたという大手不動産会社の営業所長も変化を歓迎している。
「’13年に神奈川県駅の建設が発表されて以降、この街は発展し続けました。今後も、このペースで地価は上昇し続けると思います。リニアの品川-名古屋工区の完成は早くとも’37年と言われていますが、この街に住む人たちにとってそれは決して不安材料ではない。『近い将来にリニアという希望の未来がやってくる』という期待感のほうがずっと強い。その思いが、この街の発展を推し進めています」
前出の福岡氏は「橋本の価値は上昇し続ける」と話す。
「この街の強みは、かつての新横浜駅のように″何もない農村地帯″に新たに駅ができるのではなく、そもそも相模原市のビッグターミナル駅だった橋本の駅機能がさらに強化されるということ。広域高速鉄道網の一つに組み込まれるということは″駅の格上げ″を意味するので、今後も駅を中心とした生活・交通機能の拡充が積極的に進められ、利便性はますます向上するはずです。
神奈川県駅の開業に伴い『街の機能がどんどん向上していく』と考えると、商業開発でも住宅開発でも不動産ニーズは高まっていくと想定できるため、橋本駅周辺の地価の推移についてはまだまだ伸び代があると見ています」
橋本が横浜を追い越す日は、そう遠くないのかもしれない。
『FRIDAY』2026年9月4日号より
